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貞○帯でもつけますか? 1
すまないな、と詩帆を肩に担ぎ帰っていった隆盛。身長差など10cm程度しかないのに、力持ちなことだ。
一気に、しんっ...と静まり返る部屋。
「静か、ですね...」
「それだけあの2人がうるさかったってことだよ」
膝の上から逃げようとする鼓を押さえつける。ぐぬぬ...と少し抵抗したが、諦め、すとんとまた膝に戻った。
ぼんやりと、(いつの間にか設置されていた)テレビを眺めていると遼介がふと疑問を口にした。
「つーくんは、いつ俺のこと好きになったの?」
「は」
(いや何唐突すぎでしょ、どうしたの急に)
ピシッと固まる鼓に、ちょっとね...と言葉を続ける。
「だんだん惹かれてましたって言ってたよね?それはいつ頃からなのかな〜と」
「いつ頃って...言われましても」
「いつ頃からなの?」
「ん、んーー…」
と、言われても…。考えるが、鼓は答えることが出来ない。何度も何度も好きだ愛してると言われ続けたから好きになったとしか―。
(...…なんか気恥しいから誤魔化そう)
ふぃ、と遼介から視線を反らし先程届いた携帯を手に取った。
白いボディにリ○ゴのマーク。
そう言えばさっき柴先輩の会社がどうのこうのって話してた気がするな、と鼓は思い出した。
「柴先輩の会社って」
「誤魔化したな、こら」
「Shiva電子機器株式会社なんですね」
「...まぁいいか。そうだよ、有名所だね」
(あなたのところ程じゃありませんけどね)
氷川グループと言えば、大手メーカーを子会社に携える、いわば大規模マンションのようなものだ。子会社はそこに入居している人間と考えてると、かなりの儲けがある。
氷川グループはあらゆる面で友好的、かつ専制的だ。
一度懐に入りさえすれば、援助が与えられる。
だが一方で、氷川から切り離された会社は、二度と建て直すことは出来ないと言われるほど、恐ろしい一面を持つ。
目的のためには手段を選ばないという噂もまことしやかに流れているというが、真実は如何程のものなのか。
...まぁ、その息子がまさかここまで変態だと誰が予想したか。
「月曜には、もうここにいないんですよね...」
ぽつり、鼓が零した。
「寂しい?」
「それも......あるんですけど」
「ん?」
「さっき言った通り、浮気の問題です。先輩が節操なしだと…...いろんな人から聞くから」
「過去を消したいと今ほど思ったことは無いよ」
詩帆、隆盛に続き今度は遼介が項垂れた。
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