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貞○帯でもつけますか? 3

そうして遼介が一時帰宅する前の日、日曜のこと。それは起こった。 「つーくん」 風呂上がりでもう当たり前のように髪を乾かされる中、声をかけられた鼓はなんですかと答えた。 「貞操帯って知ってる?」 「テイソウタイ?」 これ、と差し出された携帯の画面には貞操帯についての説明が書かれていた。男性及び女性が性交や自慰をするのを防ぐためのもの―。 「.........」 思わず画像をクリックしようとした鼓の手を、やんわりと退ける。 「つーくん、俺にこれつけて?」 よいしょと持ってこられた箱。中に入っているものが何となく分かり、鼓は硬直してしまった。 「え、え?あの、先輩?」 「つーくんが不安そうだったから、取り寄せてみた」 「つ、つけなくていい、です!」 生乾きの髪のまま、鼓はばっと遼介から離れる。遼介は後を追いかけ鼓を壁際まで追い詰めた。 「大丈夫、鍵はつーくんが持ってれば俺は何も出来ないから」 「そ、そういうことじゃ...あ、ちょっと!」 箱から取り出されたものは固そうな革材質で、黒光りをしていた。 (な、なななんかグロい!) しかも、ちゃんとした錠前が付けられている。 「はい、鍵」 「はい、鍵。じゃなくて!そこまでしなくていいです!」 「なんで?」 「なんでもクソもないです!俺、そこまでして欲しい訳じゃ…」 「いや、俺がして欲しいだけだから」 「尚悪い!」 渡された鍵を遼介に突き返す。その手を、遼介は優しく握った。 「つーくん、俺はね...…ただつーくんが好きなだけなんだよ。大好きだから、安心して欲しい。つーくんが不安がってる姿なんて見たくないんだ」 だめ?と遼介は首を傾げ、王子がするように跪き鼓の手を取った。 「っっっっっ...っ、っ!」 (そんなこと言われたら、頷くしか無くなるじゃん!) 声にならない悲鳴をあげ、鼓は必死に首を振ってだめと言う。 「つーくん?」 「っ!」 「つーくん」 「っ、!」 「......鼓?」 「っっっ!」 不意打ちの名前呼び。絆されそうになるのを必死に止めていた箍が外れる。 「付けるのは自分でするから、鍵は、お願い」 「.........っ」 完膚なきまでに叩きのめされた(精神的に)鼓は、大人しく鍵を握りしめた。 「ありがとうね、鼓」 「変態...っ」

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