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お遊び:愛してるゲーム
遼介視点
詩帆が「最近はこういうものが流行ってます!」と提示してきたのは、その名も愛してるゲーム。
互いに愛してると言い合って、にやけたり照れたりしたら負け。言われてる方は何回でも「もう1回」と言わせることが出来る。
「鼓くん意外と恥ずかしがってるところあんまり見ないし、やってみたら?」
そう言われて、ふむ、と少し考えた。確かに鼓は、キスをしてもあまり構う素振りが見られない。キス自体に疎いのかもしれないが、言葉にもあまり反応しない。
まぁ、クサイセリフなどには、流石に反応するけど。
これはチャンスなのかもしれない。
早速鼓にゲームの内容を聞かせ、やってみることにした。
「じゃあ、つーくんから」
「先輩からじゃないんですか?」
「つーくんからだよ」
渋る鼓を宥め、先を促す。
「......あ、い...あいし、あ、いしてるよ」
鼓は何度も吃り ながら言った。
(クソ可愛すぎか)
ここでにやけたらダメだ、と必死にポーカーフェイスを決め―もう1回と言った。
「えっ」
「ほらつーくん。もう1回」
「っ...愛してるっ!」
やけくそに叫んだその表情に、若干の赤みが見られる。
可愛い。
「じゃあ、俺の番だね。つーくん、愛してるよ」
「う、もう1回!」
「愛してる」
「〜、もう1回!」
どうやら俺を照れさせる作戦らしいが、言われる事に鼓の顔が下を向いていく。
「世界で1番愛してる。愛してるって言葉で言い尽くせないほど愛してる」
「〜っ、〜〜っ!!も、ういっ...」
「愛してる」
ついでにキスも混ぜ込む。とうとう鼓は真っ赤に赤面し、ぷるぷると震えてしまった。
「つーくんの番だよ」
左右に首を振る。
「お、俺が照れたから...負けですっ、もう終わり!」
「え〜、俺つーくんの愛してる聞きたいなぁ」
「〜っっっっ!愛してる!」
「もう1回」
「愛してます!」
「もういっか〜い」
「あ!い!し!て!る!」
ひとつひとつ区切るように言った後、あまりの可愛さに抱き締めた。恥ずかしさのあまり、暴れられるがさらに強く抱く。
「つーくんが最初に吃りながら言った時、俺の方が少しだけにやけてたから、俺の負けだよ」
「...っ」
「つーくん可愛いかったよ」
額にまたキスを落とした。鼓は気づいてるだろう、鼓を負けさせないためにわざと俺がそう言っていることを。
詩帆に成果を聞かれた時、思わずニヤけてしまい、隆盛と詩帆に病院に行くかと言われたことは絶対忘れてやらない。
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