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氷点下ブリザード 2
「このくらいの重さが、いいんです」
「それは、束縛が心地良いってことかな?」
「.........」
頭を上下にゆっくり動かす。
「大変じゃないのか?」
大変じゃないです、と鼓は遼介に呆れながら言った。
(柴先輩にまで言われるとか、どんなだよ...)
大変な理由―変態で束縛魔でストーカーで愛が重すぎで、異常にハイスペックでかなりのスパダリだからだという他ない。
のだが、鼓自身には全く自覚はなく「大変」などと思ったことはない。
詩帆と隆盛は顔を見合わせ、うーんと唸った。
「鼓くんがいいならそれでいいや。嫌になったりしたらいつでも言ってね?俺らがガツン!と遼介に言ってあげるから!」
嫌になったりすることなんてないだろうけど、と思いつつも鼓はありがとうございますと頭を下げた。
「で、鼓くん。さっきから携帯にバンバンメール入ってきてるみたいだけど」
「先輩からですね......13件全部先輩です。......2人に襲われないように注意してねって心配してくれてます。嬉しい」
先輩2人はため息を吐いた。
*
次の日、鼓が用意して部屋を出ると待ち構えていたのは2人の先輩だった。
「おはよう鼓くん」
「え、っと?」
戸惑う鼓を他所に詩帆は鼓の手を取って―
取った瞬間、鼓の携帯に電話がかかってきた。
それは、昨日メールを十数件ほど送ってきた張本人、遼介だ。
「あ、おはようございます先輩」
『おはよう、つーくん。早速だけど、スピーカーにしてくれる?』
―ピッ
『野沢 詩帆、つーくんに触るな』
「ひいいいいいい!」
詩帆はばっと鼓から距離を取った。
...ツッコミどころが多すぎてどこからいけばいいのやら。
「ふ、ふふふ、フルネームで言うな余計に怖いだろ!あとどっからやり取り見てた?!今お前家だろ、監視カメラでもついてんのかよ!!」
『おしい』
「監視カメラ付いてんの?!」
「悪いな詩帆、この辺りの監視カメラを俺がハッキングして遼介に送った」
「隆盛ィいいいいい!」
詩帆は隆盛に飛びかかり、俺の腕が切り落とされたらどうするつもりだよ!と襟首を締め上げて前後に揺らし怒鳴った。
『つーくん、もうスピーカーオフにしていいよ』
「はい」
元に戻し、鼓は携帯を耳に当てた。
『改めて、おはようつーくん。よく眠れた?』
「眠れました。今日は変な悪夢見ませんでしたよ」
『ぐっ......つーくん貞操帯のこと根に持ってるね?』
「先輩が買わなかったら俺はあんな夢見ないで住んだんです」
『反省してるから...傷口抉らないで』
2人が会話して投稿する中、詩帆と隆盛は未だに口論(?)をしていたのだった。
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