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氷点下ブリザード 5
2人の護衛は教室迄である。故に教室という無法地帯に足を踏み入れることになる訳だが...
「...」
窓側の席にある鼓の席。それは教室に入る前から汚れているのが丸わかりだった。
「こっからでも見える汚さって...何してんだろ」
「落書きは流石にバレますし、泥じゃないですか?机の中には何が入っているのかワクワクしますね」
「鼓くん.....?ねぇ、涼川 鼓くん?ワクワクしちゃだめだよねそれ?!」
「虫かな〜♪、死骸かな〜♪、ゴキブリかな〜♪、ネズミかな〜♪、それとも...ふふっ」
「ぎゃあああ!鼓くんが壊れてるー!」
「歌が不気味すぎるぞ......」
笑いながら教室に入っていく鼓に不安を覚え後からついて行く2人。
教室の黒板にはでかでかと「涼川 鼓は テストで不正をしている」とあることない事を書かれていた。
(うわ、天才的なほど馬鹿だ。根拠の無い嫌がらせってほんとすごーい)
ニコニコと笑いながら消す姿を見て教室内が騒然とする。
―な、なんで笑ってんだアイツ
―とうとうおかしくなったか?
一方、机を見に行った詩帆と隆盛は顔を引き攣らせていた。
「なに、これ...」
「...」
机の中には大量のゴミ、上には鼓の読んだ通り泥が塗りたくられていた。異臭を放つ机に、詩帆は我慢出来ず「なんだよこれ!」の叫んだ。
「遼介が居なかったら何してもいいと思ってんの?!」
「こればっかりは...」
「鼓くんが遼介に告げ口するとか考えないの?!馬鹿じゃん!!」
その言葉で数人がびくっと肩を揺らした。やはり何人かはそういう考えを持っていたらしい。
黒板を消し終わり鼓が戻ってくる。眼鏡がチョークの粉で真っ白だ。
「先輩、その疑問にお答えしますね」
チョークの粉で汚れた眼鏡を拭きながら鼓は返答した。
「まず、その人が例えば超偉い人で、この嫌がらせで学校を辞めされられても、その後はちゃんとサポートしてやるとでも言うとしましょう。
するとどうでしょうか、みんな嫌がらせに加担しますし、しなくても黙秘するんですよ。学校辞めさせられても、後ろ盾があれば安心ですからね」
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