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氷点下ブリザード 6

「それに「サポートしてやるんだから、俺のことは口に出すな」とでも言えば、自分のことは隠し通せる」 そこまで言い終えて鼓はちらりと辺りを見回した。 「......ねぇ、当たってるでしょう?」 クラス中が、息を潜めた。それは詩帆と隆盛も例外ではない。 微笑むその姿は妖艶で。黒髪が揺れる頬は白く、人を取り込むような、それはまさに 高嶺の花のような佇まいだった。 花に例えるならば、月下美人―花言葉は艶やかな美人。 ふっ、と鼓はすぐに無表情に戻る。意識を持っていかれかけていた詩帆ははっとし、なんだ今のと困惑した。 (今のは一体...涼川くんから目が離せなかった) 隆盛ですら、眉を顰める始末。 鼓にはそれだけの魅力がある、ということか。 「先輩、この机どうしましょうか...」 一転変わって、鼓は自席を眺めため息をついた。 (今からじゃゴミを捨てて机洗ってなんてできないし...) 「あ、ああ...それなら、空き教室に机がいくつか余っているが」 「では、それを取りに行きます。すみませんが、場所が分からないので付いてきて貰えませんか?」 「お、俺も!俺もついて行く!」 「......じゃあ、2人にお任せしますね」 再び微笑む姿。さっきと同じはずなのだが、全く色気はなかった。 教室から出て空き教室に入り、それぞれに椅子と机を持った。鼓以外は。 「え、あの...俺、どっちか持ちますけど」 「鼓くんはそんな事しなくてもいいの!」 (ってか持たせたらファンクラブの子にギッタギタにされるっ) 今更だが、鼓のファンクラブを創設したのは詩帆である。 よいしょっと持ち上げられ、手持ち無沙汰の鼓はありがとうございますと苦笑いをし た。 「俺...聖徳太子の時代に生まれたかったです」 突拍子もなくそんなことを言い出され、2人は?を浮かべた。 「だって、その時代だったら冠位十二階の制がありますよね?家柄にこだわらず、貴族じゃなくても、頭が賢い人の方が偉いって制度」 「ああ、なるほどね。それだと鼓くんは絶対上にいけるもんね」 「そうしたら権力者全員潰してやるのに.........」 ぼそっと呟かれた言葉に先輩2人は震え上がった。

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