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氷点下ブリザード 7

生憎、教師が生徒を恐れて注意することが出来ないため、机は教師が黙ってそのままどこかへ持っていった。 「役立たず...」 ぼそり、と詩帆が呟いた。 「じゃあ鼓くん。お昼時にまたね」 「はい、ありがとうございました」 「鍵は持っているな?」 「持ってます」 机と椅子を教室に置いた2人はその場から早々に退出した。 鼓は早速新しい席に座り、鞄から筆記用具と教科書を取り出す。鞄は教室に置いていたが今のところなんの損害もない。 そう、、だ。 不意に目を離した瞬間、何が起こるか分からない。前より酷くなっただろう嫌がらせ、今度は本当に物がなくなるかもしれない。 特に、鞄が無くなることは鼓にとって死活問題である。なぜなら、 (鞄は死守...鞄は死守......お菓子お弁当無くなったら死ぬ) 鼓は大食いなのだ。 授業中はさすがに何もする気は無いのか、静かなものである。 ぼんやりと授業を聞いていると、この間数学の問題を聞いてきた隣の席の生徒が鼓に話しかけてきた。 「なぁ、今のところどういう意味?」 「え、?」 「ここ」 鼓の側により教科書のある一点を指さす。その行動でいくつもの視線が2人に突き刺さった。 (勇気あるな、この人) 「うん、ちょっと待って。メモ渡すから」 「ありがとう」 カリカリと付箋メモに記入し渡す。何か一言二言言われるのではと少し身構えていた鼓だが、生徒の用事は本当にそれだけだったようですぐに授業に戻った。 (.........珍しい、こういうのって団体ですると思ってたけど入ってこないやつとかいるんだ) その後もその生徒は周りの視線を一切気にすることなく鼓に聞いてきた。 授業が終わり休み時間になると、鼓は机に伏せって仮眠を取る。 だが今回はそうもいかなかった。隣の生徒が数人に話しかけられていたからだ。 (どうせ「お前も加担しろよ」とか言われて乗っちゃうんだろうなぁ) 冷めた感情で鼓は耳を傾けていたが、内容は驚くべきものだった。

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