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死活問題 3
朝食を作り終え、2人でテーブルにつく。
「「いただきます」」
相も変わらず量の多いそれを、鼓は普通に、遼介は少し苦しそうに食べていった。
荷物は全てあちらにあるため、食後はゆっくり(食べすぎて動けないが正しいかもしれない)している。
「...え?もう帰ってこい?ありえない」
五時頃になっただろうか、遼介が電話に出、文句を撒き散らしていた。
「何でそんなことしなきゃいけないんですか。6時頃に出れば間に合うでしょう?......はぁ?.......だから.......................チッ」
大きくわざとらしく舌打ちし、遼介は電話を切った。
「はぁ.....」
「もう出るんですか?」
「ごめんね...俺も嫌なんだけど父さんが帰ってこいって」
「...仕方ないですね」
これは仕方がないことだ、と鼓が割り切ろうとしつつ寂しそうな表情をすると遼介がもう一度電話を手にした。
「無理だから、5時なんて無理です。7時にこっちを出ます」
ぶちっと切られた通話。ついでに電源も落とされる。
「これでもう少し一緒に居られるね、つーくん」
「.........ふぇ....?」
やるべき事してください、という言葉が呑み込まれ出てきのは謎の音。
(...横暴すぎ、まだ一日しか経ってないんだからもうちょっと我慢できるでしょ)
可愛くないことを思いながらも、鼓の頬は緩む。
結局のところ、家のことより優先し大事にされるのが嬉しいのである。
「あ!そうそうつーくん。俺が帰ってくるまでにこれ決めておいてね」
手渡されるファイリングされたそれは、かなりの重みだ。さらに、あと2冊渡される。
「なんですかこれ」
「結婚式場」
「...............え?」
「と、あとウェディングドレスの種類」
「え?!」
「と、あと招待状の絵の選択とかその他もろもろ」
「えぇ?!」
「つーくんさっきから「え」しか言ってないよ?」
面白いねつーくんは、とからりと笑う。それもそうだろう、1度鼓は結婚式を断ったはずなのだ。
はず、なのだが?
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