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死活問題 4
(俺断ったよね1回。あれ、あれ?!)
困惑する中、遼介は平然と「海外とかもあるんだよ〜」とにこにこ笑いながら話す。
困惑の末、鼓が出した答えは
「あ、そっか。冠婚葬祭ですね!」
「で、こっちが結婚式のプラ............ん?」
遼介の話を遮ってしまうほどだった。
「葬式の方ですか?」
「誰か亡くなったの?」
「え?」
「え?」
話が噛み合っていないことに気づかないふたり。
「違うよ、冠婚葬祭は冠婚葬祭でも、結婚式の方」
俺、断ったはず...と呟いた途端、遼介はにぃぃ〜と不気味な笑みを見せ鼓を固まらせてしまう。
「知らないよ?」
「え、前に」
「知らないよ?」
「せんぱ「知らない」.........そう、ですか」
(あ、これ絶対何言っても聞かないパターンだ)
諦め、ぺらりとファイリングされたものを捲った。
結果から言うと、それは鼓の心を動かすものだった。
「どう?どうつーくん?」
「...ぁ......す、すご...」
「でしょ?」
煌びやかな結婚式場、美しいヴァージンロード、幸せそうに式を挙げるふたり―。
それは綺麗以外の言いようもないものだ。
「俺の考えたプランどうだった?」
「いいと、おもいま...しゅ」
「噛んだ」
「っ」
「喜んでもらえて何より」
蕩けそうな目で鼓を見る。何故か恥ずかしい気持ちになり鼓は目をそらした。
「あの...えっと、プラン色々あってどれもこれも素敵なんですけど」
「うん」
「ってか、どれも良すぎて決めれません...っ」
「挙げてくれる気ではいるんだ?」
「うぅっ.........いち、おうは考えておきます」
「可愛い、ありがとうつーくん」
横抱きにされソファーに座る。遼介が(いつの間にか)買っただけあって品質はよく、深く座ると体が沈むほど柔らかい。
鼓の気持ちを動かしたのは、確かに結婚式のこともある。が、1番はプラン(1~28)を鼓が気に入るように徹底的に考え抜いてくれたことだ。
「海外だったらそのまま新婚旅行に行けるね」
「修学旅行がカナダなので、違うところがいいです」
「...ああ、修学旅行......か」
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