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某ホラー番組をご覧なさった鼓様
side遼介
「む、無理無理無理!!」
「あはは、つーくん怖がりだねぇ」
「ひっ...ぎゃあああ!」
腕の中でバタバタ暴れるつーくん。可愛いなぁと思いながらも、加虐心が煽られてしまい腕を押さえつけてしまう。
「ひど、いっ、先輩ひどぃぃ!離してっ!」
「大丈夫だって〜、あ、ほら。貞子みたいなのが―」
「っ...いやぁぁぁぁぁっ」
つーくんと一緒に見てる某ホラー番組。つーくんが怖いのが嫌いなことを知っていながら、敢えて俺はこの番組を見せている。
だって、俺に縋り付くつーくん可愛いから。
テレビをつけてホラーだとわかった瞬間のつーくんの逃げ足と言ったら......陸上選手顔負けの走りだったと思う。
「ひぃい...も、むりぃ...怖いぃ」
暴れるのをやめ、つーくんは俺の腕に縋り付き半泣き状態になってしまっている。
「つーくん、怖い?」
「......こわぃ」
腕の中、こっちを見上げるつーくんの目に浮かぶ大粒の涙。そろそろ泣きそうなその表情に、俺は焦りが走った。
―やばい、やりすぎた?
「せんぱい...こわい...もうやだ」
「うん、ごめんね?もう消そっか」
さすがに泣いてしまっては可愛そうだ、とテレビを消す。つーくんをぎゅ〜っと抱きしめる。
つーくんにホラー番組を見せたもうひとつの理由。それは。
「つーくん、今日一緒に寝る?」
「......寝ます」
これを期待していたからだ!いつもは夜這い夜這いばかりでつーくんが寝付く所なんてあまり見れない!でも今回は違う!
何故そこまでしてつーくんの寝付くところが見たいのか。だって、つーくん寝ぼけるとめっちゃ素直になって可愛いんだもん!聞いたことにはなんでも答えてくれるし、なによりなんでか知らないけどとにかくニコニコしてる。
そんなつーくんを見たいがために、今回つーくんにホラー番組を見せた訳だ。
「じゃあつーくん、寝ようか」
「はい...寝ます......」
つーくんを、もう一度優しく抱いた。
いいね、別に。
だって、つーくんが可愛くて大好きで愛おしいだけだから。
許してくれるよね、つーくん?
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