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鷲野 と 鼓 2

近づいてきた鼓に、鷲野は息を飲んだ。 なるほど、確かに綺麗だ。 筋の通った鼻、濡鴉のような艶やかな髪。日本人らしい姿をしているのに、瞳は西洋人らしい深海を連想させるリアンブルーである。 「へぇ...」 「なに?」 じっと見つめていると、値踏みされたと思ったらしく鼓はむっとした声を出した。 「いや?綺麗だなって思って」 「...アリガトウ」 その言葉が心底嫌いらしい、さらに苛立ちを見せる。 「ちょっとついてきてくれないか?」 「どうして?」 「理事長の息子である俺の命令。ついてこい」 「...............」 鷲野の横暴さに呆れ、仕方なしに鼓はついて行った。 連れてこられた先は在り来りな体育館裏。鼓は眠たいと思いながらも聞いた。 「それで、なんで俺はここに連れてこられたの?」 「わかんね?こ·く·は·くだよ」 「...告白.....?」 「そ。お前、俺と付き合え」 鷲野は顎を逸らし腕を組んだ。偉そうなその態度に、鼓は頭痛に襲われ頭を抑えた。 「ねぇ。そこは「好きです、俺と付き合ってください」じゃない?」 「俺が好きなのはお前の見た目で、付き合うのは俺に相応しい容姿をしているからだ。喜べ」 「.........」 「どうだ?嬉しいだろ?」 「うん、嬉しいなぁ」 「なら、付き合うよな?」 「...ん〜.........いやかな。気持ちは嬉しいんだけど」 「あ?付き合わなかったらどうなるのか分かってるのかっ?」 暫く。呆然として動きを止めていた鼓だが、やがてゆっくり動き出し大げさに舌打ちした。 「...うるさいな」 「...は?」 「面倒くさすぎる。なんであんたと付き合わなきゃならないの?」 今度は鷲野が固まる番だった。

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