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鉄の籠 11

*暴力表現があります。ご注意くださいませ 腕と足の拘束を解き、鼓は古木に耳打ちをした。 「部屋の扉が開いたら、走って逃げて」 「は?涼川はどうするんだよ」 「俺も後から追いかけるから」 「それ、大丈「何話してるんだ」」 古木の言葉を遮りながら鷲野が近寄る。2人が振り返ると目を異様にギラつかせた鷲野がいた。 鷲野は鼓をちら、と見遣り腕を引いて古木から引き離す。 「お前は、こっちだろ」 「ッ痛い!」 腕を振り払らわれ苛立ったのか、(くら)い瞳で鼓を睨みつける。 「反抗するなよ、古木がどうなっても知らないからな」 「...」 言葉に詰まり黙ってしまうと、相手は厭らしい笑みを浮かべた。 (殴りたい、その笑顔。ってか二度と人前に出れなくなるくらい殴りたい) 古木がいる今はまだダメだ、と鼓は気持ちを振るい起こさせた。 side 遼介 「八九座、お前...」 「申し訳ございません」 土下座する八九座を土足で踏みつける。 八九座がふと目を離した瞬間、鼓は鷲野によって連れ去られたらしい。俺の方もの相手に気を回しすぎていて、盗聴器を使うのを忘れていた。 だが、問題はそこだった。連れ去られたということもあり、鼓は鞄を教室に置いていったようなのだ。そして、携帯に付いているGPS。鼓は携帯の電源を消していて、探索することも出来ない。 部屋番号も荘の名前も分かっているからいいものの、鼓が、下劣な奴の部屋に入れられ穢れてしまうのが気に入らない。 だからこそ八九座に言って絶対阻止しろと言ったはずなのにこの仕打ち。 「どう責任取るんだ」 顔を蹴りつけはしない。優しい鼓は、きっと、八九座が怪我をするだけで悲しい顔をしてしまうから。 でも。 「ガッ、...ッ」 顔以外は、見えないところには、傷をつける。その方が八九座も安心する。全てを許容するのは、相手が最も苦しむ事だからだ。 「八九座、どうするんだ」 腹を蹴られてもなお、土下座の姿勢を崩さない。 ついでに、手も踏みつけた。 「グゥ......ッ...」 「...まぁお前の処分は後でいい。学校に帰るぞ、八九座」 「は、い」

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