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おはよう「友達」 3

遼介と目が合い、古木は軽く礼をした。遼介も軽く見遣る。 「違います、古木に奢るんです」 「俺が出せば良くない?」 (なんでそうなった。それじゃ意味ないでしょ) 「...良くないです」 「んー...まぁいいや。どれくらい欲しい?諭吉さん何枚?」 「そんな要らないです、野口さん1枚でお願いします」 「あ、もう諭吉さん5枚はつーくんの財布の中に入ってるんだった〜」 「はっ?ちょっと、その散財グセ直してください!」 ボカッと軽く肩を殴られ、だが、さも痛そうに呻く遼介に鼓はフンッと顔を逸らした。 どう見ても、イチャつくカップルである。 そして。鼓と遼介の「いちゃつき」を何も言わずジィッ...と見つめている古木。その表情は読めない。 「あ、ごめん古木。とりあえず食堂行こう?」 「俺も着いていく」 「先輩は、ダメ」 鼓はさっさと歩き始め、その後ろに古木と遼介が続く。 古木だけが特別扱いされているように感じ、やっぱり古木は元のクラスに戻せばよかった、と遼介は後悔する。 「なんで、ダメなの」 少しばかり冷たい声が出たが、鼓は気にした様子もない。 と言うよりかは...顔が赤い。 不思議に思い、遼介は鼓の顔を見ようと横に並ぶが、逸らされてしまう。 「つーくん?」 「はい?」 「もしかしてだけど、俺が着いてくると都合が悪い事でもあるの?浮気?古木くんと?もうそんな関け「違いますから!!」......へぇ?」 これで鼓は、ちゃんとした理由を答えない限り疑いを晴らせなくなった。遼介の計算 通りである。 鼓は少し戸惑った後、口を開いた。 「先輩目立つから...食堂に行ったら声かけられると思って......お、俺のなのに」 「...............」 「先輩?!鼻血、鼻血でてますよ!」 「...」 「古木も親指立ててんの!?」 ポケットから急いでティッシュを取り出し遼介の鼻に詰める。 「づーぐんの嫉妬とが、ざいごうずぎで」 「...つーくんの嫉妬とか、最高すぎて?」 「う"ん」 「...変態」 「最高」 「古木もさっきからどうしたの。そんなキャラじゃないでしょ?」 そう言われ古木は首を傾げた。 「言ってなかったか?俺は腐男子だぞ」 (フダンシ...フダンシって、腐る、に、男、に、子供の子、と書いて読む、あの、フダンシ?) 少しの間、鼓の思考は停止し、そしてついにオーバーヒートを起こしてしまったのだった。 [鷲野編]終了

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