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生徒会長の特権 2
古木が腐男子だと知ってから、鼓は決して古木の前でいちゃつかないと決めた。
なぜなら。
その度に古木が心底幸福そうな笑みを浮かべながら鼻血を出すからだ。
最初のうちこそ鼓も笑って流していたが、さすがに何度も鼻血を出されれば気が気でない。
あと、普通に怖い。
(鼻の粘膜どうなってるの)
普段表情が読めない分、それはまぁ幸せそうで。
古木の楽しみを奪うようで忍びなかったが、鼓はイチャつくことをやめたのである。
そうして今。鼓が遼介の姿をグラウンドから見つめていたことにより、古木は花が咲く様な笑みを浮かべていたのだった。
「氷川先輩を見てたんだな」
「いや、遼介先輩を見てたわけじゃなくて...」
「ほぅ...遼介先輩、か」
(あぁぁぁ!俺の馬鹿!大失態!)
件の誕生日から、鼓は遼介に「遼介先輩」呼びを強要されていた。
初めは拒否していたのだが、そのうちにその名前呼びに慣れてしまったのだった。
「涼川...」
「な、なに」
「グッジョブ」
「鼻血拭け!!!」
やはり古木は鼻血を垂れ流していた。
鼓には2つ悩みがあった。
もちろん1つ目は「古木の鼻血」なのだが。
もう1つは、遼介のことである。
「つーくん、今日こそはこの紙に記入してもらうよ!」
(来た...)
学校から帰ってきた恋人に対して深くため息をつくと、遼介は傷つくなぁそのため息と眉を顰める。
遼介が持っているもの。それは「生徒会入部届」である。
これが鼓を悩ますものなのだ。
この学校には「副会長,書記,会計は生徒会長が決めることが出来る」という生徒会長の特権がある。
それに従い、書記は詩帆が、会計は隆盛が遼介に推薦されそれぞれの業務を行っている。
【これは余談だが、初めは詩帆が会計だった。だが計算間違いの多さで、元々書記だった隆盛と交代になっている】
そして遼介はその特権に倣い、鼓を「副会長」に任命しようとしているのだ。
鼓は面倒事を嫌う質のため、もちろん遼介の案を良しとはしていないのだが。
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