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生徒会長の特権 3
遼介はとうとう鼓の足元に跪いた。
(これが学校中が仰望する生徒会長の姿だよって言いふらしたい。しないけど)
「お願いします鼓様...どうか生徒会に入部を...」
「嫌です」
「鼓!入れと言っているだろう!」
「強気できてもダメです」
「妨碍你 」
「中国語できても無駄です」
「来なくてもいいから!入部だけして!」
「Io non lo voglio 」
「なんて?嫌ですって言った?」
「イタリア語、分かってるじゃないですか。俺は入部しませんよ。
なんでそんなに入部させようとするんですか」
そう言えば1度も理由は聞いていなかったとこれまでの事を思い起こす。
遼介は自信満々な顔をして、ソファーに座った鼓を仰ぎ見た。
「生徒会室だったら学校で存分にいちゃつける!学校でいちゃついて「誰かにバレるかも...」とかいう背徳感を得たい!」
「馬鹿ですか!」
確かに馬鹿である。背徳感も何も、学校中に広まっているのだから、「ああ、なんだあの二人か」で終わるに決まっているのだ。
「俺はつーくんに対してなら「つーくん馬鹿」になれるよ!」
「親バカみたいに言わないで下さい!」
ふぅ...と再度ため息をついたその時、遼介は一瞬の隙をついて鼓を持ち上げ横抱き(お姫様抱っこ)にした。
「ちょっ」
そのままソファーに座る。
「つーくんget!」
「もう!」
言葉では嫌がるものの、鼓は抵抗せず満更でもない様子だ。いい加減慣れたらしい。
「こうやって〜生徒会室でつーくんを抱っこしながら仕事したら捗るんだろうなぁ〜」
髪にすりすりと頬擦りをする。あやす様に身体を前後に揺らされると、鼓の目はとろん...とし、気持ちよさそうだ。
「ね、早く帰ってきたらその分つーくんは早く俺とこうやって抱き締め会えるよ?」
「......生徒会室でも、やりますよね」
「でも、学校と家とでは違うでしょ?」
「そう、ですねぇ...考えてみます」
鼓は目を擦り大きめの欠伸をした。
「あらら。つーくん眠いの?」
「すみません...」
「寝る?」
「大丈夫です。それより」
この話は終わりです!と鼓は遼介の膝から勢いよく脱し、キッチンへ向かった。既に夜ご飯を作り終えているため、あとは温めるだけなのだ。
そんな鼓の背中を、遼介はじっと見つめていた―...。
(つーくん、気づいてるのかな...毎夜毎夜魘されてること...)
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