155 / 437
生徒会長の特権 6
シン...と静まり返るグラウンド。
次の瞬間には沸き立っていた。
「エッロい!なんだ今の!」
「生徒会長の生キスとかァァァァァ!」
「あ、もうダメだ...」
「おい、死ぬなアァ!」
「俺、勃った...」
「僕も...」
キスから目を覚まし現状の理解をしていくと、鼓の顔が恐ろしいものに変化する。
「あ、あれ?つーくん?」
蕩けた顔から一転。怒りに染まる般若のような表情になったのだ。
遼介も焦り始め背中に冷たい汗が流れる。
「ちょっ、まっ、」
制止の声も聞かず。鼓は思いっっ....................きり手を振り上げ
パァンッ
「!!!!」
そして。思いっきり遼介の頬を打ったのだった。
「最低、降ろせこの馬鹿!」
「あ、もっと罵ってつーくん」
「変態!!」
その日の1時間目の授業は結局、練習という練習は出来ずに終わった。
まぁ、その理由は大半の生徒がトイレに駆け込んだためだが。
遼介は鼓に「今日は一緒にご飯食べません、一緒にも寝てあげません!近寄らないでください!」と御触れを出され、泣く泣く教室に戻って行った。
ちなみに「一緒に寝てるんだ...」と古木を含め何人かの生徒がいかがわしい妄想をしたのは別の話。
鼓が教室に戻ると(鼓は遼介に言われて別の教室で着替えている)、古木がニコッと笑っていた。
「涼川、ナイスだったぞ」
親指を立てる古木の指をへし折る勢いで、鼓は指を反対方向に押しやる。
「古木...よくもやってくれたね......」
「負のオーラしか感じられない」
「実際負のオーラ出してるからね。いやそうじゃなくて」
古木は未だにニコニコとしながら鼓と話していた。親指は既にあらぬ方向へ向いている。
「ああ、まさかあそこでキスするなんて思ってなかった。それもディープ」
「責任取って。古木がタオルなんて持っていかせなきゃこんなことにはならなかったのに」
「先輩に辱められた責任取って結婚してもらえよ」
「〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
またもや手を振り上げる鼓。が、その手は押さえつけられ叩くことが出来なかった。
「つーくんが叩いていいのは俺だけだよ」
「今日は近寄らないでくださいって言いましたよね」
背後にいたのは、変態だった。やはり変態もニコニコと笑っている。
「さぁつーくん俺を叩いて!」
「叩きませんよ変態!」
再度遼介は近づくなと怒られてしまった。
ともだちにシェアしよう!