156 / 439

生徒会長の特権 7

恨めしそうに古木を見る遼介。 「先輩だめですよ、そんな顔しちゃ」 「だってぇ...」 シュン、と遼介に生えた耳と尻尾が垂れた気がしたのは気の所為だろうか。いや、気の所為ではあるまい。 「なんで古木くんは許されて俺はダメなの...?古木くんは俺とつーくんがいちゃついてる所を見たくて試行錯誤してるのに...めんどくささ変わらなくない?」 (あ、自分がしてる事がある程度めんどくさいことって分かってるんだ。えらいえらい) 「古木が試行錯誤する元凶は先輩でしょ」 「......クラス変えちゃおっか!」 「やめてくださいね」 「つーくんがひとりで泣いてたら俺が助けに行く!」 「その萌を写真に収めて崇めたい!」 「二人ともやめてください!」 「つーくんに怒られた。古木くんのせいだね」 「元は先輩が接触禁止なのに俺のところに来たのが悪いんです!」 鼓は遼介の背を押して教室の外まで追い出し、 追い出し... 追い出... (うっごない!なんでだ、こんなに差があってたまるか!) 鼓と遼介の身長差は23cmである。筋肉量も体重も遼介の方が上なのだ、動かせる訳が無い。 「ふっ...く、んぅ......ッ、んんッ...ふぅッ......ッ」 無駄にエロい声が響き渡る。静まり返っているのはその声を聞こうとする輩がいるからだ。 「つーくんやめようか」 遼介は渋い顔をして鼓に制止の言葉をかける。 「え?」 「ちゃんと居なくなるから、ね?やめよ?」 「...え」 「っ、どうしたの」 鼓の顔が一瞬にして曇る。どうやら「ちゃんと居なくなるから」をネガティブな意味で捉えたらしい。 「側から離れてしまうのだ」と。直ぐに察した遼介が弁解する。 「...違うよ、つーくん。つーくんの側からは離れない。ただ、教室に帰るだけ」 あからさまにほっとした顔をした。その鼓の肩を優しく抱き寄せる。 「不安にさせてごめんね?」 「いえ...」 「こういう時、イチャイチャしたいから生徒会入らない?二人きりになれるよ」 「雰囲気ぶち壊しです。教室に帰ってください」 結局、遼介はまたお咎めを食らってしまった。

ともだちにシェアしよう!