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忍び寄る不安と迫り来る体育祭 6
遼介はああ言ったものの、鼓の不安は完全に消えることは無かった。
(先輩だって男なんだから、女の子みたいな綺麗で可愛い子の方がいいはずなのに...)
鼓はベッドで、勝手に入り込んだくせに先に寝てしまった恋人をじぃ...と見ていた。
いや、嘘寝の可能性もある。
「眠れない......」
対して、鼓はなかなか眠れない状況にある。
不安、なのが1つ。
その他の理由は、ココ最近の鼓宛に嫌がらせの手紙が届くせいだ。
どうしても遼介の仕事が終わらず鼓が先に帰ると、それは必ず入っている。
大抵は遼介への恋文 であり、鼓も最初のうちは遼介に渡していたのだが。
最近は「涼川 鼓へ」と茶封筒に入ったものと二通届くようになっていた。
『涼川 鼓 へ
氷川 遼介と別れてください』
ついこの間まで敬語だった手紙は
『別れないと秘密をバラします』
脅迫文へと形を変え
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』
暴言へと成り代わり
『今日はこんなものを用意しました』
セフレを募集している人の顔写真とアドレスのコピーされたものが付属されるようになり
『呪われろ』
最後には、封筒の中に髪の毛やら血で書かれた暴言の髪やらが同封されていった。
気味は悪いが、遼介に勘づかれてはいけないと鼓はそれら一帯全て鍵のかかる机の引き出しに閉じ込めていた。
(入れたはいいけどなぁ...先輩、ピッキング技術持ってるみたいだし、開けられそう。ピッキング技術なんてどこで手に入れてくるんだ?)
遼介に相談した方がいいのは、鼓も重々承知である。
だが、鼓自信が「これくらい大丈夫だ」と思ってしまっている限り、それは難しいだろう。
(今までに比べたら全然マシなんだから。これくらい平気平気)
「...平気」
口に出すことで、より一層そう思えるようになり実行力が上がる。どこかで聞いた一説に倣い、鼓も口に出した。
「...平気」
「平気だもんね、鼓は」
「そう、全然へいK.........、......は」
お決まりと言うべきか。
「何が平気か、教えてくれるんだよね?鼓」
遼介はパッチリと目を開けていた。
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