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明日は体育祭なので頑張りません 3
倒れた遼介、その遼介に締め上げられ死んでいる詩帆、唯ひたすら静かな隆盛、そして満足そうに微笑む鼓。
...なんとも、摩訶不思議な光景である。
暫くしてから蘇生した遼介。鼓自身も床に座り、遼介の横に座る。
「先輩、明日頑張って下さいね」
詩帆が無茶だと言った理由は、これでもある。明日が体育祭なのだ、一日でどうにかできるものでは無い。
「うん、つーくんのためなら頑張る」
だが遼介はやる気だ。何がなんでも勝つ気でいる。
恐らく、遼介は鼓に命令 されればなんだろうと言うことを聞き、実行するだろう。
鼓の信頼を勝ち取れるとあれば、例えそれが、無謀な事であっても成し遂げる。
何故そこまで鼓に対して執着するのだろうか......ただ、愛しているというだけで済むものなのだろうか。
「じゃあ俺達はこれで。また明日」
「すみません、お茶のひとつも出せずに...」
「いや。大丈夫だ」
詩帆の後ろ襟首を掴みそのまま引き摺って、隆盛たちは帰っていった。相変わらず、容赦がない。
実を言うと、遼介が蘇生したあの後、詩帆も一度起きたのだが遼介によって再び永い眠りに落とされていたのだ。
パタンと戸が閉じると、遼介はそっと鼓を抱き締める。
「そんなに、俺がこうやって他の人を優しく抱きしめるの嫌?」
今更ながら、とんでもなく恥ずかしいことを言ってしまったのでは...?と後悔する。
「、いや...です」
「なんで?」
「せ、んぱいは......お、俺の、だから!」
ヤケクソで叫んだ言葉は、遼介の心臓を貫き刺さる。脳内でその言葉が何度もエコーのように再生させられる。
―俺の、だから!
―俺のだから
―オレノダカラ...
思わずにやけるストーカー 。遼介はさらに強く鼓の体を抱き締めた。
「可愛いなぁ...
そんなことが言えるなんて、つーくんは素直ないい子だね」
「ッい、い子?」
"いい子"という言葉に、鼓は肩を震わした。
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