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夢ノ内高校体育祭 開催 2

遼介が古木へ(にじ)り寄る。古木は悲鳴を上げながら詩帆の後ろへ逃げていった。 「遼介、後輩いじめないの!」 「いじめてない。つーくんに忠実なだけだよ」 「犬みたいだな、遼介」 「ハウスって鼓くんが言えば帰ったりして〜」 詩帆と隆盛が揶揄う。だが特に気にせず詩帆の影に隠れた古木へ行こうとした。 (なにそれ面白い) が鼓はふふ、と面白がり冗談でハウスと言った。 すると疾風の如く、遼介が帰ってきた。 それも、鼓の目の前で正座をしている。 「へっ?」 「ワン」 「え、え、あ、よ...よしよ〜し」 「ワンワン」 「あ...可愛い」 「クゥ~ン...」 「「「............」」」 なんだこれは、3人の気持ちが綺麗に揃った。 犬の泣き真似(無駄にうまい)をする遼介、それに対して可愛いと言い頭を撫でる鼓。最初こそ驚いたものの鼓は既に慣れ始めていた。 「名前は何がいいかな」 「名前は変えないであげて?!」 この夢ノ内高等学校は、大型の体育館ホールを使用することになっている。これは学校側が所有しているものだ。 1階は競技場と待機室、2階は生徒観覧席、3階は先生,来賓観覧席となっている。 楕円形のホールで、真ん中は1年生、左側は2年生、右側は3年と振り分けられていた。 つまり、遼介たちと鼓たちは真反対側にいることになる。 そして、組み分けも違う。 夢ノ内では紅組と白組に別れて戦うのだが、1~4組は白組で5~8組は紅組。鼓は3組で遼介は5組だ。 敵同士である。 であるのだが。 「先輩何出るんでしたっけ」 「俺は普通のリレーと借り物競走」 「あ、借り物は俺と一緒ですね!頑張って下さい」 「つーくんも、400mリレー頑張って」 「ありがとうございます」 敵同士ということを、この2人は忘れているような気がする。 敵を応援し合ってどうするのだ。 (あれ、俺いつ先輩に400mリレー出るって言ったっけ?) 遼介の盗聴も、健在である。 これは余談だが、遼介が開催前に練習でしていた騎馬戦、補欠も練習しろ、と言うことでやっていたので競技自体には出ない。

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