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夢ノ内高校体育祭 開催 3
ちなみに隆盛も借り物競走に出ている。もうひとつは障害物リレーだ。詩帆は玉入れと綱引きである。
夢ノ内での借り物競走は非常に盛り上がることで有名だ。なぜなら、無理難題の多さで笑いが取れるからである。
例えば。「先生のヅラ」、「足の臭い人の靴下」、「頭悪そうな奴の荷物」、「下着」...など。
酷い時はや「好きな人」「恋人」なども含まれており、所謂、公開処刑なのだ。
特定の人に向けた「借り物」は体育館ホール上部に設置されている大型のテレビで映され、笑いを呼ぶのだった。
去年の鼓はその場に居るも特に面白みを感じることが無く、大体を寝て過ごしていた。
だからこの借り物競走を大変さを今初めて知ることになったのである.....。
開会式が終わり、詩帆が出場する綱引きが始まる。
「野沢先輩、大丈夫ですか?」
「あー、えー、うん?何鼓くん」
詩帆は酷く緊張しているようで声をかけられる度に肩を揺らし戦 いていた。
綱引きは最も配点の高い競技であり、それ故にプレッシャーのかかる競技でもるのだ。
それに、詩帆と遼介、隆盛達5組が勝たなければ、遼介は強制的にクラスの代表とハグしなければならなくなる。
詩帆としても、鼓が悲しむそんな光景は見たくないのだ。
「詩帆頑張れ〜応援してるぞ〜」
「棒読みやめてよ遼介...」
詩帆はしゃがみこみブツブツと何かを呟いている。
「負けるな負けるな負けるな負けるな......」
(すっごい緊張してるの伝わってくる...覇気が全然ない。そして先輩は相変わらず野沢先輩への扱いが雑い)
鼓は蹲る詩帆に近づいて、何の気なしに頭をポンポンと叩いた。それはいつも遼介が自分に対して不安になった時にしてくれるもので、他意ない。
ないのだが。そうした途端、詩帆は目を見開いてよっしゃああぁあぁぁあ!と叫び鼓を10歩程引かせた。
「やる気出た!元気出たあぁあぁ!」
「そ、それなら...よかった...です?」
「つーくん、気持ち悪いなら気持ち悪いって素直に言っていいんだよ」
「と言うより...こわ、いです」
「ああ!ごめんね鼓くん!ごめん!」
謝り倒す詩帆を躱すと、茫然自失となってしまう。
「許してもらいたければ勝ってこい、詩帆」
隆盛のその言葉で復活しアイアイサー!と叫んで詩帆は1階に降りていった。
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