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夢ノ内高校体育祭 開催 9

「ていうか、どうして交代することになったんだ?」 クラスメイトA「それがな古木...さっきの騎馬戦で精神的ダメージを負った奴がいてな......」 「............」 あのを思い出してしまったのか古木は遠い目をして固まってしまった。クラスメイトAが咄嗟に声をかけるが古木はなかなか戻ってこない。 「先輩、さっきの騎馬戦本当に可愛い服でした?」 「ウン」 (目、逸らした。絶対違う、精神的にくるってどんな衣装だったんだろう) どんなおぞましい衣装だったんだと思い浮かべる。 何も出てこなかった。 少しして、遼介は手をポンと叩き提案してみせた。 「じゃあ、女装クジ以外を引かせてよ」 「「「「は?」」」」 もちろん全員何言ってるんだと言う顔をした。 「そんなの無理に決まって......何するんですか」 遼介は鼓の体を自分の方へ向けさせた上で、抱き込みそのまま耳を塞いだ。鼓は首を振って手から逃れようとしたが力は強く無駄に終わる。 「そうだよ、鼓くんの言う通り無理だって」 鼓に賛同するように詩帆も頷いた。だがそれを遼介は許さない。 「へぇ〜...無理、なんだ?」 「ヒッ」 「?」 全く聞こえずさらに見えないため、詩帆が喉をひくつかせたような声を出した理由が分からず鼓は困惑するばかりだ。 「俺はつーくんをこの場に居させることすら嫌なんだよ。他の奴ら(クズ)はつーくんを蔑むし、方や俺に対しては媚び(へつら)う。居心地が悪い。気持ち悪いし、吐き気がする。 いいよ、別に帰っても。つーくんには何とでも言えるから。でも、俺がいなかったらどうなる?体育祭。荒れるし、纏まらないよな?それどころか、優勝のご褒美のハグも無くなって崩壊するんじゃない?元からそんなのする気ないけど。 .....詩帆、隆盛、どうにかしろ。わかってると思うが、鼓だけが特別だと分からないようにしろよ」 「お、うぼう...」 「さっさと う ご け 」 「は、はぃい!」 「本当、暴君だなお前は」 詩帆は怯えて、隆盛はやれやれといった感じで観覧席を出ていった。 その間、鼓は遼介に抱かれているせいで見ることも出来ず声を聞くことも出来ず不安に思っていた。 (先輩いい匂い。って俺も一緒の匂いか。なんか...照れる) ...?どうやら不安に思っていたというのは見当違いだったらしい。

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