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夢ノ内高校体育祭 開催 10
遼介から解放され、見回すといなくなっていた詩帆と隆盛。
「先輩、あの2人は?」
「生徒会の仕事こなしに行ったよ」
「......そうですか」
その後、クラスメイトAは本当にありがとう!と鼓と遼介に礼を言い退出した。
鼓は話が分からず、ましてや自分が障害物競技に出ることなど知らない。?を頭の上に浮かべていた。
(なんでお礼を言われたんだ?まさかまた何かしたとか...)
チラと遼介に目を向けると、遼介もこちらを見ていて慌てて視線を逸らす。何故か、視線を逸らさなければいけない気がしたのだ。
間を空けると、またハイテンション放送部による実況が始まった。
『さぁ次の競技へ行ってみましょう!』
『次の競技は...うおおおお!障害物競走だだあああ!』
何故か観客席からは歓声が上がる。
(この競技って歓声上がるようなものだっけ?むしろ悲鳴が上がると思ってたんだけど)
鼓が首を傾げて、
『なんと今回は!2年生で出るはずだった選手が棄権!騎馬戦で地獄を見せられたとの事!』
『うおぉええぇ...』
『なんでお前もグロッキーになってんだよ!...あ、お前も出てたのか。おつかれ。
それはさて置き!そんなこんなで出てくれる選手はなんと!』
『涼川 鼓 くんです!』
頬がピクリと引きつった。
歓声がまた大きく上がる。
放送部によるそんな話を聞いて、すぐさま遼介の足を踏みつけた。
「せ ん ぱ い?」
「ぐ、ぅ......い、た...い......つ、つーくん?」
「...んで俺が出ることになってるんですか!!!!!」
「え、俺が言ったから」
(平然と言ってんじゃねぇよこの暴君王子!俺女装するの嫌だって言ったよね?女装させるのはちょっと...ってあんたも言ったでしょうが!!!)
心の中にギュッと暴言を詰めて、遼介を無言で揺さぶる。
「ご、め、ん、ってば、ね、つーくん。だっ、大丈夫だか、ら、ほ、ら、行ってき、て!」
揺さぶられる中遼介は必死に言葉を紡ぎ出した。もう決定事項なんだ、と観念したくない気持ちも山ほどあるが、仕方なく鼓は遼介を離す。
「じゃあ先輩、」
フラフラで椅子に座る遼介に一言。
「ここに帰ってきても、先輩は俺の隣に座ることを禁じます。触るのもダメですから」
「?!ちょ、ま、つー…」
開け放たれる扉。遼介の手が届くことなく、閉まる。
残された古木は、先輩ドンマイです、と手を伸ばしたまま固まる遼介を励ました。
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