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夢ノ内高校体育祭 開催 13

渡された衣装(?)を持って、鼓も着替え室に行こうとしたが。 「えっ」 係の人2人に両脇を抱えられ全く違う場所に連れていかれてしまった。 「えっ、ちょ、どこへ?!」 「...」 「無視?!」 会議室のような場所へ通され、そこに居たのは詩帆と隆盛であった。 「鼓くん!」 「野沢先輩?」 なんでここに、と言おうとしたが詩帆に抱きしめられたことにより言葉を呑み込んでしまった。 直ぐに詩帆は顔を青くして体を離す。遼介に何か言われているようだ。 「涼川君は、安全の為にもこっちで着替えることになっている」 隆盛がガチャリと部屋の鍵を閉める。 「気をつけなきゃね〜」 「あ...、はい」 (そういう事か。別に、暴言くらい大丈夫なのに。殴られるのはさすがに嫌だけど) そう思っていることが分かったのか、詩帆が首を振る。鼓は未だに、自分のファンクラブがあることを知らない。 「鼓くんそうじゃなくて。あんなケダモノたちがいる所に鼓くん置いていったら襲われちゃうってこと」 「.........なるほど」 「納得してない感じがするけど...鼓くんこの学校では結構人気あるんだよ?嫌ってる人ばっかりじゃないからね」 「.........ほう」 「分かってないねこれ」 取り敢えず着替えよう!と詩帆に背中を押される。 着替える、と言ってもネコ耳を付けてしっぽをズボンの縁に、手袋を手に嵌めるだけなのだが。 そうして疑問に思ったことを口にする。 「なんで俺だけこんな軽装備なんですか?」 「聞いてないのか。遼介の差し金だ」 「先輩の?と言うよりどういうことですか?」 遼介も意地の悪いことをするなと呆れつつ隆盛は種明かしをした。していくにつれて、鼓も呆れた表情になって行く。 「という訳だ。涼川君。どうか遼介を怒らないでやって欲しい」 「.........人使いの荒さは後で怒っておきますので。でも、野沢先輩も柴先輩、ありがとうございます」 律儀に頭を下げる鼓。それを目視した詩帆は隆盛にこそこそと耳打ちをした。 「やっぱり、怒るんだ」 「普通なら「私だけ特別なんて嬉しい」とか言うはずだが...」 「鼓くんは、ほら、その辺の女とは違うから」 「?」 聞こえていない鼓は、もう着替えた方がいいのかなと持たされたネコ耳たちにに手を伸ばした。

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