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夢ノ内高校体育祭 開催 20

(遼介と食べるはずだった)料理を4人でわけ食べていく。 「なにこのドレッシング...…フレンチなのに、サウザンっぽくもある」 「アヒージョとか俺久々に食べたけど。こんなんじゃなかった。俺が今まで食べてきたアヒージョってなんだったんだろ」 「卵焼きに焦げが一切見当たらない。これは、料亭のものか?」 「...そんなに美味しいですか?」 「「「美味しい」」」 各々が褒め称えるため鼓も頬を少し朱に染めた。 それにしても。誰がこの料理の数々が遼介の好物なのだと分かるだろうか。 (...先輩の喜ぶ顔、見たかったんだけどな) 隣に居ない恋人を思い浮かべ、また憤りがぶり返す。 今居ないその恋人は名も知らぬ男の隣に居て、更には料理を食べている。自分の料理ではなく。 箸を持つ手が握り締められ 「...」 耐えきれなくなった箸が、ミシリと嫌な音を立てた。幸い折れていない。 「あのね、鼓くん。遼介の事なんだけど」 「、」 「ひぃっ、口に出してごめんなさい!めっちゃ顔怖いよ!オーラ出てるから!なんか紫っていうか、黒っていうかそんな負のオーラ出てるよ!」 肩を大きく揺らし詩帆が涙目に叫ぶ。鼓は深く息を吸ってオーラをしまった。自由に出し入れできるものなのだろうか。 「遼介は親の言いつけであの子と仲良くするように言われてていわゆる会社の付き合いってやつであって鼓くんを除け者にした訳ではなくてだから鼓くんも必要以上に気にする必要はないと思われるのですはい!」 かなり早口それも息継ぎなしで言い切った。 鼓はそれを聞くも無言でただコクリと頷くだけである。 「...別に気にしてないですよ」 言うに事欠いて、これだ。目は完全に、気にしてますと物語っているというのに。 「涼川は素直じゃないなあ」 「悪い?」 「いや全然。むしろ萌えるから全然OK」 「ソウ」 古木に思いっきり「またこいつは...」みたいな視線を送ると、そんな目で見ないで…と自ら視線を外した。

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