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夢ノ内高校体育祭 開催 23

その男とは思えぬ甲高い声(鼓曰く「猿の鳴き声」)が聞き取れたようで、遼介が振り向き手を振ってきた。 「せんぱぁい、がんばってくださぁい」 (...俺がこの人嫌いな理由って、同族嫌悪かな。腹黒なところ一緒だし) 元クラスメイト()も遼介に手を振り返し、鼓も一応振り返しておいた。これでは遼介がどちらに手を振ったのか分からない。 「僕に手を振ってくれたんだよ?何、手振り返してるの?はっずかし〜」 「そうかもね。でも先輩の気持ちを読めもしないくせにそうやって断定するなんて、君のその行為こそ恥ずかしいよ」 「はぁ?!」 「静かにして。その金切り声耳が痛くなる」 「っ、〜〜!」 (やっぱり降りて来なければよかった。猿のの隣にいたら気がおかしくなりそう) 声にならない悲鳴をあげる猿を横目に長々とため息をつく。牽制してこいと言われたものの、方法が分からない。 (古木に聞いてこればよかった) 『位置について...よーい……ドン!』 掛け声と共に走り出した。声援もかなり多く遼介の人気度が知れる。 (先輩すごい…早いっ) 遼介は直ぐにトップに躍り出て、吊るされた紙を1番に確認した。すると、ピタリと紙を凝視したまま動きを止めてしまった。 (?どうしたんだろう) 少しして、クルリと此方を向いた事で猿の声量はさらに大きくなる。 「...あ、こっち向いてくれた!せんぱい〜!」 「っ、せん、ぱ」 「ちょっと黙っててよ!」 鼓も呼ぼうとしたが、押しのけられ言葉に詰まった。 「ホント邪魔!」 が、猿の言葉に堪忍袋の緒が切れた。 「っ!お、お前のじゃない!」 「はぁ?!」 (牽制ってこういうこと?) 「俺が付き合ってる!」 「っ、僕の方がいいに決まってる!可愛いしテクだってある!あんたより全然良い!」 そう言われるも鼓も負けを劣らず睨みつける。 「ほ、ら!先輩来てくれた!絶対俺を迎えに来てくれたんだ!」 違う、と言いたがったのだが。遼介に先程言った言葉やこれまでの行動を含めれば確かに可愛くないのかもしれない。 (でも、と、盗られたくないっ) 遼介は此方へ走っておりどう考えても、猿か鼓かのどちらかなのは明確だ。 「先輩〜こっちで〜す!」 猿は自信満々に手を振っている。 (だめ、それはだめ、...「先輩!」じゃ気づいてもらえない。もっと、先輩の気の引く言葉、) 深く息を吸って 「遼介!!!!!」 猿に負けないくらい大声で叫んだ。

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