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夢ノ内高校体育祭 開催 26
その後は遼介と共に椅子に座って借り物競争を見ることになった(会長特権)。
「柴先輩だ」
次の走者は隆盛。隆盛もまた、人気があるらしく観客席がざわめきたっている。
「隆盛も足速いからね。借り物競争では結構有利だったりするけど...それよりつーくん俺の名前呼んでくれる約束したよね?」
そっと肩に触れられるものの、鼓は遼介を視界に入れることもせず適当に返事した。
「遼介、今大事なところだから」
そう、適当...に?
「...嬉しいけど!何この複雑な気持ち!流された感じがあるんだけど!もっと恥ずかしがるつーくんが見たかった!」
「静かにして?遼介」
「呼んでくれてありがとう?!」
頭を抱え込む遼介を全く気にも留めない鼓。こういう所は非常にドライだ。
スタート後。隆盛はやはり、かなりのスピードで相手全員を追い抜かし意図も簡単に紙に辿り着いた。
紙を確認すると、当たりを少し見回し係でぼんやりと突っ立っていた詩帆の手を掴みいきなり走り出す。
「え、何、なに隆盛!」
「お前が借り物だ。じっとしてろ」
「ちょ、」
走ると遅いと考えたのか(この辺りは遼介と思考が少し似ている)、いきなり詩帆を肩に担ぎ上げた。
もちろんただで担ぎ上げられる詩帆ではない.........のだが、体格差により逃げることも出来ない。
そうして詩帆はとりあえず、叫んだ。
「おおおぉ、おろ、降ろしてぇ!」
「大丈夫だ、大人しくしていれば手荒なことはしない。逃げれば命はないと思え」
「それヤクザのセリフでしょ?!」
「?何故ここで八九座さんが出てくるんだ」
「それは遼介の側近、ってそうじゃなくてっ」
暴れる詩帆を諸共せず走り切り、隆盛は悠々とゴールを果たした。
ようやっと肩から降ろされた詩帆。息も絶え絶えに恨めしそうに隆盛を睨 めつけた。
「なん...だったの......借り物...お、俺が...借り物って、どう...いう」
「お題が「大切な人」だったんだ。許せ」
「なっっっ、」
みるみるうちに、顔が茹でダコのように赤くなっていく。
余裕綽々と答えた隆盛はなんだ?と赤くなった詩帆の頬を触る。
「お前は大切な人、の部類に入るんだ。確かに遼介も大事だが、お前も大切だ」
「〜〜っ、〜〜〜〜っ」
詩帆は声にならぬ悲鳴を上げ
隆盛に腹パンを1発食らわせたのであった。
「先輩、あの2人付き合ってないんですよね?」
「ないよ(あ、先輩呼びに戻った)」
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