200 / 437
夢ノ内高校体育祭 開催 27
一方
その頃の古木は...
「振られて帰って来たからって噂流そうとしてるとか...馬鹿の一つ覚えじゃね?前もそうやって氷川先輩に窘められてた癖に」
「悪いかよ!」
「うん、悪い」
「〜っ僕の勝手だろ!」
「うん、勝手にしてろよ。俺も勝手にお前のこと先輩に言いつけるから」
「はぁ?!そんなん酷くない?!」
「いやだから。勝手にしていいって俺もお前に言ってるんだから俺も勝手にする。理屈は通ってるだろ?なんか間違えてる?」
猿の相手をしていた。
余程選ばれなかったことにプライドを傷つけられたのか、猿は1人、古木いる観覧席に来ていた。
鼓の荷物を盗みあることないこと周りに言いふらそうと思っていたのである。
まぁ、そこにいた古木によって追い出されることになったのだが。
「ほら、そろそろ涼川たち帰ってくるぞ?どうするんだ?」
「お、お前のせいで僕の計画が台無しだ!」
「俺がいることに気づかないで入ってきたお前がよく言うな」
「〜っ」
もういい!と猿が叫んで帰ろうとドアに手をかけた。古木は肩を竦めてどうぞと手で払うような形をとった。
それすら腹立たしそうである。
だが。手にかけたドアは先に開き猿は外側に雪崩込む形となった。
「おっ、と」
「っっっ!」
雪崩込んだ先は、遼介の胸。
古木が口をぱっくり開け固まって、詩帆と隆盛は固唾を飲んで見守り、1歩遅れて着いてきていた鼓は、この光景を見て。
「...へぇ。そう」
とだけ呟いてクルリと踵を返してどこかへ去っていった。遼介の顔は真っ青になり猿を胸から引き剥がし手を伸ばす。
既に鼓はまぁまぁ遠くの位置にいた。
「ちょっ、と!つーくん!」
「ああ、これからは「涼川」とでもお呼びください。どうぞお幸せに」
「これには深い...いやかなり軽い訳が!」
「浮気を軽いという人と付き合いたくないです」
「お願いしますお待ちください!」
「さようなら先輩...指輪は売ります」
「そこは捨てようよ!」
周りがため息をつく中。
猿だけが怒りをふつふつと沸き立たせていた。
自分の方が可愛いのに...と自意識過剰な気持ちが浮き上がる。
猿は再び、今度は故意に遼介に抱きついた。
「そうだよ!先輩は俺の方がいいって言ってくれたんだ!だからこうやって抱きしめてくれてるんだ!」
「.........」
ともだちにシェアしよう!