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夢ノ内高校体育祭 開催 32

自分にもこんな感情があるのかと鼓は驚いていた。 先程からずっと、頭の中は「嫉妬」の言葉ばかり。何度毒づいても足りないほどであった。 (今までこんなこと無かったのに、変になったのかな) 変になった、と言ってしまう辺り鼓らしい。 (かつ)て鼓にも過去に“彼氏”と呼ばれる存在がいた。 大抵の場合、鼓の裏表の激しさにイメージを壊され離れていくのだが、ほんの数人は気にしない者もいたのだ。 それでいざ付き合ってみると。鼓はさっぱりしていて、嫉妬もしないし笑ったりもしない。 だと言うのに恋人は妬いて欲しいからという理由で妙に鼓以外に馴れ馴れしくする。 するとどうだろうか、鼓は愛してもらえないと大いに勘違いしさらに心が離れて...結果、破局。 決して鼓自体も嫉妬していない訳では無いのだ。ただ、嫉妬しても「仕方がない」という感情で抑え込んでしまう、それだけだ。 「愛されないのは仕方がない、可愛げなんてないんだから」と。 遼介と付き合ってからは、だいぶ黒さも表出すようになりこうしてちゃんとしたヤキモチも妬けるようになっている。 しかしながら...……。 最初こそ自分にも嫉妬なんて感情があったんだ、と驚き鼓は少しばかり喜んでいたものの...今度はその感情が鬱陶しく感じられていた。 (真っ黒すぎて、嫌だ。こんなんだったら逆に嫌われそう) なんともまあ、難儀な性格であろうか。 その程度で遼介が嫌うはずがないだろうに。 (なんで肩組んでるの?そのオネエみたいな人は誰?近寄らないで、話しかけないで) (先輩も先輩だ、なんで俺が以外に笑いかけてるの?俺だけじゃなかったの?) (イライラする、でもこれって表に出して良い感情?先輩はこんな俺を見てどう思うの、うざい?鬱陶しい?) 奥歯が噛み締められ、ギリ、と嫌な音が出される。 「.........今日の夜ご飯まだ克服出来てないピーマンとレバーにしてやる…」 (八つ当たりって分かってるけど…) そして、 最終滑走の遼介がスタート位置に着いた。

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