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表彰式 2

『体育祭、お疲れ様でした』 きゃぁぁぁ! 『かなりの接戦で俺もとてもドキドキしました』 きゃぁぁぁ! 『勝敗に関わらず楽しめたのではないでしょうか』 きゃぁぁぁ! (なにこれ、うるさ。耳痛いんだけど。ここアイドルのライブ会場かなにかなの?ってか降ろして) 遼介が何かを言う度、黄色い歓声が飛ぶ。 恥ずかしがっていた鼓は既に冷めた気分になっていた。 そして辛辣。 『さて、今回の勝敗は、ッ』 だから。 鼓は遼介の首筋に歯を立て噛み付いた。甘噛みなどそんな可愛らしいものではなく。まるで誘拐されそうになり逃げ出そうと暴れる人のようだ。 「つーくん何してるの?」 引き剥がすでもなく優しく髪を梳かれる。その動作に何故か虚しくなった。 (なんか、全然効いてない感じがする…) 「キャアキャア言われるの…あんまり、好きじゃない、です」 「古木くんもキャアキャア言ってるけど?」 「それ、は…腐男子だから。見目麗しいとかって言ってるんですよ」 頭の中で古木が鼻血を垂れ流しているのが易々と思い浮かべられる。古木らしいと言えば古木らしいのだが…。 (それよりシャッター音が気になるんだけど。誰か写真撮ってるの?先輩じゃないし、古木さカメラ持ってないし?………ぁ) 突如勢いよく遼介の胸を押し出し、鼓は朝礼台の上に転げ落ちた。 「つーくん?!大丈夫?!」 「しゃ、写真撮られて、ますっ、」 「…………え、あ、うん。そうだね?」 (何その反応?!) それがどうした、と顔に書いてある。それよりも転げ落ちた鼓に怪我がないかどうかが心配なようだ。 「そうだねじゃなくて!俺みたいなのが先輩と付き合ってるって世間に知れたらダメですよ!」 「?」 「俺、男!」 「……?」 (だって!ここ親とかもいるし、誰が見てるか分からないんだからっ) 焦る鼓に対し、 「何かまずいことでもあるの?」 遼介は非常に冷静である。 「…ェ」 「あ、世間体に響くとでも思ってるの?そんな訳ないよ。自分で言うのもあれだけど、俺氷川だよ?誰が俺に文句言う度胸あるのかな。ネットに流れても、別にいいよ。消すから それに、俺の選んだ相手に文句言うなら 潰すけど」 口が、引き結ばれる。 (そう言えば…こんな、お人でした) 鼓は真っ向から遼介の攻撃を受け、動けなくなってしまった。 再びマイクを手に、遼介はあたりを見回しながら言う。、 『こんな状態ですみません 紹介させて頂きます。今日から生徒会に新しく入ることになった涼川 鼓くんです。 それから、俺の大事な婚約者です』 「誰が婚約者ですか!!!」 『間違えました、内縁の妻です』 「妻じゃありません!!!!!!夫で、………?」 (あれ?) 『内縁の夫だそうです』 (あれ?)

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