210 / 437

表彰式 3

遼介の潰すという発言により表彰式は普通に(むしろ静寂すぎて恐ろしい)執り行われた。 シャッター音の一切が聞こえなくなっていた。 校長『優勝おめでとう!』 優勝旗と表彰状を紅組代表の遼介が貰い、掲げる。 その間はさすがに皆揃って喜び騒がしくなった。”その間“とは校長の長々しい話の間もという意味だ。 表彰式も終わり、生徒会役員になった鼓も準備こそなかったが片付けを手伝わされることになった。 が。 「つーくんは何もしなくていいよ」 「そんな訳にはいきません。俺だって生徒会に入ったんです」 問題発生。 “何もして欲しくない、というよりもうそこに居てくれるだけで嬉しい遼介“ “役員になったからには仕事を全うしたい鼓” この2人が対立してしまったのだ。 「先輩は何のために俺を生徒会に入れたんですか」 「愛でるため」 「愛で……いつもしてますよね?!」 「足りない。生徒会に入ったからには膝に乗っけて事務仕事してたいんだよ!力仕事なんてつーくんにはむ…似合わない」 「無理も似合わないも失礼です、ってか力仕事に合う合わないもないですよ!」 怒る鼓を他所に、遼介は鼓が奪おうとする椅子やテーブル荷物を避けていた。重いものは他の人に指示して持っていかせ、荷物は届かないと分かっているかため高く掲げる。 ピョンピョンと飛び跳ね荷物を取ろうとするが勿論届きはしない。 走って片付けに行っても遼介が先回りして持って行ってしまう。 「先輩っ!」 「なに?」 あまりの扱いに鼓が怒鳴る。 (これじゃ俺約立たずじゃんっ) 「俺に!何か!仕事をください!」 「…ワーカーホリックみたい。 分かったよ、つーくんは俺と一緒に動いてくれる?その時に指示するからさ」 「はい!」 やっと仕事を貰えるようで、無邪気に喜んだ。 そうしてようやく鼓が貰えた仕事は「疲れた遼介をナデナデすること」だった。

ともだちにシェアしよう!