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ご褒美欲しさで頑張ったから 1

ぐっ…たりとソファーで横になる遼介。頭は鼓のふくらはぎに置かれていた。 詩帆と別れ、先に戻っているであろう鼓のいる自室に帰った途端、ソファーに倒れ込んだのだ。 心配する鼓を巻き込みそのままソファーに座らせ今の状況に至る。 (何となく頬擦りされてる気がするけど気のせい、じゃないよね。 それより。俺の足女の人に比べて硬いけど、いいのかな。骨と皮しかないんだけど…) 頬ずりされていることより、硬さを気にする辺り鼓がおかしいのか、バカップルなのか。 「疲れた…」 ボソリ。遼介が告げる。鼓は本当に嬉しそうに頭を撫でた。 「お疲れ様でした。勝ってくれてありがとうございます。かっこよかったですよ」 「それはそれは良かった……それから、ご褒美下さい」 「え、さっきの「お願い」で終わりじゃないんですか?」 ガバリといきなり上半身を起こし、遼介は鼓 とぶつかりそうになるギリギリで止めた。 驚いた鼓は少しのけ反った。 「あれは「お願い」、今から言うのは「ご褒美」。全く別物だよ。 「お願い」はこうして欲しいと思うこと、「ご褒美」は褒めて与えるもの、つまり必ず貰えるもののことだよ それにー……」 何やらよく分からぬことを力説されるも鼓は遼介との顔の近さに戦き目を回らせていた。 つまり、聞いていない。 「そ、そそ、そうですかっ!あと近いのでもう少し離れていただけると嬉しいんですけど?!」 「むり」 「、」 スッと交わされるフレンチキス。鼓はみるみるうちに赤くなった。 (いきなりとか狡いほんと狡い!自分がイケメンだってこともっと自覚してほしい!じゃないと心臓止まる!) 「鼓」 「ぁ…」 2度、3度、4度と繰り返されていく内に鼓は蕩け、ぼんやりと遼介を見つめるだけとなった。 「ご褒美、言っていい?」 「…ど、ぞ?」 舌っ足らずな言葉。その言葉を吐く唇にまた軽くキスが落とされた。 「フェラさせて」 (…、) 「あれ、つーくん?」 鼓の頭の中で、ベッドに横たえられ喘ぎ声をあげる情景が浮かび上がった。 『あ、せ、んぱっ…』 『遼介、でしょ…鼓』 『や、もぅっ……ぁあぁあ…っ』 「無理ぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッッ」 「あははは、その反応期待してた」 「や、あの、それはさすがに、む、無理!」 遼介から距離を取り逃げ惑う。いつもはただのストーカーにしか見えない遼介が、今の鼓には悪魔に見えた。 「つーくんおいで〜」 「ぜ、絶対嫌ですからね!!!!」 ジリジリと距離が詰められていく―。

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