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海外旅行は”でーと“にはなりません 1
[デート編]
夢ノ内高校には、いくつかのルールがある。その内、最も面倒だと言われているのが、外出許可だ。
まずは担任に外出許可証を提出。学年主任から生徒指導の先生へ、事務の人に回り教頭、校長、理事長、果ては警備員の人にまで渡る。
緊急時ではない限り、大抵外出許可証は後回しにされる為許可が取れるのは早くとも1ヶ月ほどかかるのだ。
しかも、理由が真っ当な理由出ない限り許可は貰えない。
デートがしたいから、そんな理由は認められるはずがないのだ。
たが、そんなルールを無視できる男が一人。
「つーくん!デートしよう!」
ストーカーこと、氷川 遼介だ。
教室にて、午前の授業中の時のこと。
2時限目の授業が終わった途端遼介が教室に飛び込んできて言ったのだ。
デートをしよう、と。
「でーと、ですか?」
「そう。ほら、俺たち付き合ってるのにデートらしいこと1度もしたことないでしょ?」
「それは、外に出れないから…って、でーとするしないに関わらず、外出許可なんてそうそう取れませんよ」
「もう取ってきたよ」
「……」
(特別待遇?所詮今の理事長もペコペコすることしか出来ないのかよ)
少しムッとはしたが顔には出さず。鼓はふむ…と悩んでみる。
(先輩と、でーと。一緒の寮だから待ち合わせなんてないし、男同士だから手は繋げない、いちゃつけない、カップル用の店にも入れないし割引も貰えない。お似合いですねなんて以ての外。それに先輩カッコイイから確実にナンパされる。文句言えない……)
「でーと、しません」
考えあぐねた結果、鼓の答えはこうだった。
静まり返る教室。
「なんで?!」
一番に反応したのは、何故か古木だった。
「え、なんでって……」
「氷川先輩とのデートだぞ?!あの氷川先輩との!こんな魅力的な誘いを拒否する理由がどこにあるんだ?!」
古木のあまりの勢いに尻込みをし、なんとも言えない表情をしてしまう。
確かに、鼓にとっても遼介とのデートは魅力的であるが…
「そ、外だから先輩と手繋げないの寂し、…かったり、します」
時が止まる教室。
「あ……」
「おぅ…」
「やっばぃ」
「かわぃ…」
「((((勃った、どうしよう))))」
(なんか寒気したんだけど…気持ち悪、なにこれ)
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