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服を買いに 3

これと、それ。 あと、これも。 それからあれ、出来たらあっちにあるのも。 ああ、あと 「ストォップ!」 何となく鼓は分かっていた。分かっていたことだが、実際に体験するのとは訳が違う。 2人の店員の手が服によって埋め尽くされ、それでも足りない、と他の店員も呼んでおり、だがそれでも嫌な顔一つしないのは、「お得意様」だからだろう。 「や、や、あの、それ以上はいりませんっ」 「流石に全部は買わないよ?(つーくんに合わないものもあるし)」 (なんか今含みのある言い方しなかった?!大丈夫なの?!怖いってば!) 服を指す遼介の手を押さえつけ止める。少し遼介が嬉しそうなのは、鼓がふれているからか。 「先ぱ、「遼介だよ」……遼介、ストップ、ほんとに」 「つーくん、俺の散財癖直せって言うよね?」 「そ、そりゃ…」 「諦めて!あ、ねぇ、あれも見せて」 「遼介!!!」 止まることを知らない遼介。総額は言わずと知れたこと、恐ろしい値段になっている。 その後鼓は完全に着せ替え人形となり、某ネズミの国に着く前に疲れ果ててしまっていた。 Nブランドで買った服、数十袋を寮の方へ送って貰うことにし、鼓たちはネズミの国へ向かうことに。 「買いすぎですよ…」 「重い?」 「荷物は寮の方に送ってるので別に」 「そうじゃなくて。愛の方」 首を傾げて重くないですと答える。何故そんなことを聞くのだろうと鼓は不思議に思った。 「これは、俺の愛の重さだと思ってて」 「………分かりました」 納得したように鼓は頷いた。 つまりは、あれだけの散財をするということはそれだけ鼓を愛しているということなのだ。 窓の方を向き照れる鼓。その隣で遼介はしたり顔で微笑んでいた。

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