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某ネズミの国でお揃いの物を 4
クマのエリアで2人は可愛さ(遼介は鼓の可愛さを)を堪能した。
辺り一体が黄色く染まっている場所にて、鼓はとにかくシャッターを切り続け、終始笑顔である。
「遼介、あそこに隠れたクマがいる!」
指さす先には蜂蜜のツボから顔を出すクマがいた。頭は蜂蜜を被ったかのように濡らされており、手の込んだ見た目となっている。
「本当だね。隠れネズミみたいな感じかな」
「可愛いです!」
「うん、本当だね、そうやって喜んでるつーくんが可愛いよね」
ふっ、と表情が緩められ、鼓はその顔に見取れてしまう。息も忘れて―……。
「………………っい、い、いいいきなりデレるのはおやめくださいまし!次行きましょう!!」
先程から体が火照ってしまっていて中々熱が冷めない。冷やすために嫌でも水分をとるはめになっていた。
アイスは……苦手なものを食べさせられ百面相をする遼介の横で、綺麗に食べ終わっている。
「ショップ寄ってみようか」
「このショップ、クマの家風になってるんですよ!夜はライトアップするらしいです」
「じゃあ、夜にまた来よう。ってか、詳しいね」
「ここのキャラクターの中ではクマが一番好きなので」
「ネズミであんなにはしゃいでたのに、浮気者」
「ネズミも好きです!」
「アヒルは?」
「好きです!喋り方可愛い!」
「イヌは?」
「もちろん好きですよ!」
「俺のことは?」
「遼介の事もす、何言わせようとしてるんですか!!!!!」
あはは、残念と遼介は肩を竦めた。
その姿ですら様になってる。例えるとすれば、VIPのような……いや、実際はVIPなのだ。
ショップのなかも黄色いクマで埋め尽くされていた。ぬいぐるみ、キーホルダー、ストラップ、文房具、携帯カバー、……etc.。
鼓が真っ先に向かったのはぬいぐるみコーナーで、目当てのものはどデカいクマのぬいぐるみだ。
大きさは鼓より少し小さいくらいで、非常にモコモコしているのが遠目でもわかる。愛嬌のある顔が、微笑ましい。
鼓はある程度戸惑った後、クマにそっ……と抱きついた。
高校生でクマに抱きついても違和感のない者がいるだなんて、誰が思うだろうか。
……遼介の音のないカメラが、即座に動いた。
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