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某ネズミの国でお揃いの物を 12 とある男性視点
side 男性
名目上は「デート」ということでここに来たが、やはり気乗りはしない。
「それでね〜その子がぁ〜」
猫撫で声が癪に触り溜息をつきそうになる。だめだ、そんなことをすればこの女がどう動くか分からないのだから。
……だが、イライラするのは止められない。
母が選んだのはきちんとした家系の女だったはずだ。にも関わらず、その女は礼儀も作法もなっていなかった。
口紅が塗りたくられた唇から出るのは汚い言葉ばかり。
「Fuck you…」
「何か言いましたか?」
おっと、危ない。僕も人のことを言えるような口の良さは持ち合わせていないのだ。
「いいえ?」
カフェにもう何時間いるのか分からない。
いい加減うんざりして、何か飲み物を買ってきますと席を立った時に、彼に会ったのは運命としか思えなかった。
和洋折衷、そんな言葉が頭をよぎる。思わず声をかけてしまったのは自分でも驚いた。
最初は固まっていたものの、少しすれば普通に会話してくれて。流暢でな英語が整った唇からつむぎ出される度、驚く。日本人特有のカタカナ英語がない。
よく見ると目が青色をしていてハーフなんだと気づいた。
美しい髪、控えめな唇、心地よい声、思案する際に伏せられるまつ毛と瞳が印象的だ。
きっと母国は日本で、しかし何年も過ごした場所は外国なのだろうと思うと不思議な感覚になる。
自分自身もハーフで母国はイギリスだが、そこそこ日本にも住んでいるのだ。なのに未だに自分はカタコト。
自分とは違った何かを持っている彼にどうしても惹かれてしまった。
まさか彼氏がいるとは思っていなかったけどな。
僕の初恋(多分)は瞬時に終わった。
「…」
でも、あの超絶美少年を諦めたくない。
こういう時こそうちの権力を使うべきだと誰かが囁く。
「欲しい」
喉が渇くように彼を欲しているのがわかる。欲しい、欲しい、欲しい。
「あ、ルーチェ!遅いじゃない!」
呼ばれて振り返った。さっきの彼の声が甲高い声で掻き消され舌打ちをひとつ打つ。
そうだ、この女がいるんだった。
「ああごめん。今日はありがとう、楽しかったよ。またね」
「え、え?!何言ってるの?!これからホテルじゃ、」
「君は泊まってくれて構わない。僕はやることが見つかったから」
はぁ?!と女は酷く憤慨した様子で顔を歪める。
だがそんなことはどうでもよかった。もう頭の中は彼のことばかりで何も考えれない。
「彼が欲しい…
あの男を殺してでも」
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危ない人ホイホイのつーくん
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