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某ネズミの国でお揃いの物を 20

side 鼓 俺は今、不貞腐れている。 「それでですね〜……あ、これとかもいいですよ〜?」 「そうですか、ありがとうございます」 トイレに行っている間に、遼介がナンパされてたから。 帰り際、お揃いのお土産も買ってルンルン気分だったのに……。トイレ行って帰ってきたらこの状態。 わざわざ胸を押し付けるように腕を組んで、何故かお土産の説明をしている女の人。 わざとらしいタレ目メイクに髪をカールさせて、ピンクの口紅を塗りたくり目の下にコンシーラーを濃く引いている。 化粧が全体的に濃いし、近すぎて遼介の服に色付きそう。 顔を寄せられる度遼介はさりげなく避けてくれるけど、気になるものは気になる! しかも俺結構近くに居るのに‪全く勘づく気配なし。柱にもたれかかる遼介、斜め後ろから見てる俺。いつもすぐセンサーみたいに俺のこと気づくくせになんで今に限って気づかないの!! なんで振り払わないの?なんで移動しないの?ありえない、帰りたい、噛みたい!! 「あの……この後なにかありますか?」 「帰るだけですけど」 「…………ホテル、行きません?」 潰す。 一瞬恐ろしい思考が頭を過ぎったけど、振り払わずに留める。 遼介がこれに頷いたりしたら、遼介も潰す、と思い直した(?)だけにした。 「カフェで良くないですか?」 「か、カフェじゃダメなんです!」 「すみません、ダメな理由がよく分からないのですが…」 「え……っと、………私の体、魅力的じゃないですか?」 遼介の手を胸に誘うと、上目遣いで攻め立てる。あまりに直接的な表現にプツリと何かが切れる音が聞こえた。 止めに入ろうと思って小走りに近づいて、− 「全く魅力的ではないですね」 遼介のズバッと切れ味のいい言葉に立ち止まった。 すっ……ごいすっきりした。 「?!っ私バストDなんですよ?!」 「へぇ」 「ウエスト細くないですか?!」 「胸が大きいから細く見えますね」 「お尻引き締まってるでしょ?!」 「そこまで見てたら俺変態ですよ」 「可愛いですよね?!」 「あなたみたいな人は沢山います。でも俺が好きなのは1人ですから」 遼介と目が合う。こっちに来てくれるみたいで、腕を開きながら歩いてきた。 ……腕を開きながら? 「ひょ?!」 思いっきり抱きしめられた。 「ここに入る隙間ないよね?」 「う、うううぅうッッ」 女の人が呻きながら、逃げていった。 俺はというと、遼介の腕の中赤面して固まっていた。 確かに不貞腐れてました、けど、こんな方法で直せとは言っておりません!! 「胸なんて要らないしつーくんの方が痩せてるし可愛いよ」 「あ、あ、ああああ、ありがとうございます」 「最初の頃に比べてつーくん恥ずかしがること増えたよね?全然いいけどね」 「そうですかねっていうより早く離して頂けると嬉しいのですが本当に恥ずかしいので本当にやめてくださいまし」 「うん、じゃあ、そろそろ帰ろうか」 「ふ、ふぁい」 噛んだ。 絶対、次のデートは俺がお金払うんだと決意した今日だった。 え?最後に思うことがこれってズレてる?…そんなの知らないです。 [デート編]終了

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