252 / 437

幸せの絶頂期 3

「何言ってるんですか遼介!!」 あまりに滅茶苦茶な発言に流石の鼓も怒鳴った。これは怒られてもやむを得ない。 「生徒会長癒し係だったら、遼介が卒業した後の新生徒会長も癒さなきゃいけなくなるじゃないですか!」 ……? 「っ、ほ、ほんとだ!ごめんねつーくん!大事なところ抜けてたよ!つーくんは俺専用の癒し係だよ!」 「もう、ちゃんとしてください!」 「((いやそっちかよ))」 クラスメイトはツッコミたいのを我慢した。誰かツッコミ役を、ここにツッコミ役を導入してくれ。 遼介は普通サイズの二段弁当を、鼓は相も変わらず異常な量の昼食を食べていく。どちらの弁当も彩り良く入れられていて美しい。 「弁当いいなぁ……」 詩帆がそう呟き、鼓が作りましょうかと応答しようとした時。遼介は鼓の口を塞いでしまった。 口に運ぼうとしたアスパラベーコンが手に当たり、止まる。 「つーくんは俺の料理だけ作っていればいいよ」 「んぐ?」 「残念だったね!体育祭の時に遼介が食べなかったお弁当は俺達が食べたんだからね!」 「はぁ?!つーくん、本当?」 「むぐ、うぐ、」 「あ、ごめん」 「…ふぅ、…………本当ですよ。遼介があの猿とお昼ご飯を食べていたので3人に食べてもらいました。あの猿のご飯はどうでしたか、さぞ美味しかったでしょうね」 言葉の端々にトゲトゲしさが浮かぶ。 「鼓くんかわいそー」 「あの時の涼川寂しそうだったなぁ」 後から詩帆と古木が援護射撃をして打ちのめす。体育祭の事を思い出したのか、ウッと遼介は呻いた。 「美味しくなかった、全然美味しくなかったよ。出来上がり物ばっかりで愛情こもってなかったし、ほとんど焦げたり生焼けだったし」 「そういう、庶民的なご飯の方が好きなんじゃないですか」 「俺はつーくんのご飯の方が好きだよー、ごめんねー」 後ろからギュウギュウと抱きしめながら何度も謝罪の言葉を口にした。

ともだちにシェアしよう!