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離れた方が幸せなこともある 1
遼介の言葉により鼓が喉をヒクリとさせる。顔が白くなり血の気が一気に引いてしまった。
「ごめん、なさ……」
「もういいから、大丈夫。そんなに痛くないよ」
「……はい」
俯き、微かに手を震えさせながら手にガーゼと包帯とつけていく。その間、鼓は一言も喋ることは無かった。
「……ってな訳で、以降つーくんが全く近寄ってくれなくなりました」
「ブフッ、ご愁傷さま!」
「ふっ……わ、悪い笑って……だが、っ」
「詩帆、お前あとで叩き潰す」
詩帆と隆盛、二人同時に吹き出された遼介は机に突っ伏したまま世迷言を呟く。
言われた詩帆はなんで俺だけ?!と不満を口にした。
「本当に、もう……、朝起きたら料理だけ置いていなくなってるし、どんだけ怖かったか。誘拐かと思ったよ。部屋中探し回ってやっと見つけた置き手紙は「先に行ってます」しか書かれてなくて…………」
「部屋中探し回るほど手紙見つからなかったの?」
「いや、俺がテンパって見つけれなかっただけ……」
「みんなの憧れ生徒会長様がテンパって置き手紙すら見つけられないとか、嘆かわs…ぐぁっ」
足の脛を蹴られた詩帆は椅子から転げ落ち痛みに転げ回った。ちなみに、誰も助けようとはしない。
遼介が目を覚ますと、鼓は既に登校しておりいなかったのだ。
朝食を掻き込み、急いで後を追うも、鼓に「近寄らないでください!」と人目もはばからず教室で叫ばれ、意気消沈し、消し炭と化した。
逃げていく鼓を背に、近寄よるな、ならば電話は良いのかと咄嗟に判断し掛けたところ、普通に出た。
内容は「俺と居ると遼介が怪我するから、犯人が見つかるまでは近寄りません」とのこと。
気にしないと本人は言ったが鼓は聞き入れることなく電話を切った。
そして現在、昼食すらも一人で食べると言い出した鼓に遼介はとうとう無になってしまったのだ。
「だが、これだと犯人の思うツボじゃないのか?」
「そうなんだよね……はぁ…つーくん天才型だしそんなこと分かってるはずなんだけど。余程俺が怪我したことに動揺してるんだと思う」
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