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でもだがしかし、やっぱり寂しい
泣くことに伴い鼻水もそれなりに出ており、鼓はそのたびに鼻をかむ。
……。
…………。
………………。
「え、ちょ、涼川。鼻かみすぎ、鼻血でてるぞ」
血が人中を伝う。とうとう鼻のかみすぎで粘膜を傷つけてしまったらしい。手を這わせると結構な量の血が指についた。鼓はそれをぼんやり見つめ、古木みたいになってしまった、まことに遺憾である、とばかりに顔を顰める。
(なんか今涼川が俺に対してすごく失礼なことを思った気がする)
何を感じ取ったのか古木は苦笑いをした。
パタンとまた机に横になる。
「寂しい…」
まだ半日も離れてないのだが、既に遼介ロスらしかった。
「会いに行けば?」
「遼介が怪我するからだめ。でも寂しい…」
「氷川先輩も会いたいんじゃねぇの?たまには涼川から行かないと」
「体育祭で勇気は使い切った」
「ああ〜……あれはマジでお疲れ」
「遼介……」
机の端をギュッと握る手は、
(机など壊れてしまうが良い…………)
後々、机をミシリといわせる程強く握り締められていた。どうやら寂しさが怒りへとシフトチェンジしたらしい。
古木が食事を終え立ち上がる。顔には決意の表情が出ていた。何をする気なのだ。
「なんか見てて可哀想になってきた。先輩呼んでくる」
「ふ、古木!」
驚き、そしてもちろん鼓は制止しようとするが、
「今止めたら次の漫画のネタに涼川のモブ姦のシーン入れる」
「も、?!えっ」
「モブに強姦される、略してモブ姦。……許せ涼川、これもお前のためだ」
「ちょっと待って!?古木、俺のこと漫画のネタにしてたの?!ねぇ?!」
伸ばす腕は間に合わず古木は颯爽と去って行った。なんともまぁ、潔い笑顔であったことか。
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