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絢爛豪華な部屋 5
放課後。
遼介に連れられ足早に学校を去る。
とは言っても、みやび荘は他の荘とは違い、学校から直接通路が伸びており殆ど歩くことは無い。
足早な理由は単に2人が互いに「怪我をさせたくない」という思いからだ。
徐々に見え始める真っ白な建物。よく見れば細かな装飾がされていて、シンプルながらも地味な印象は与えない。
近づいていくと分かる、その大きさ。
(……やっぱり俺のところとは全く違うんだ。ここまでハッキリ区別されると、こう…怒りよりも呆れの方が強いよね)
フゥ…と軽いため息を吐いて、何故か遼介に繋がれた手を握り締めた。
そう、言葉通り握り締めたのだ。
「いっ、たたたた。つーくん、痛い痛い、どうしたの?」
「……バカ」
「っ可愛い、何、可愛いねつーくん!愛おしい」
もう何も言わなかった。
(意味わかんない)
顔を引き攣らせ、鼓は再び遼介の手を握り締めた。痛い痛いと言う割に遼介は幸せそうである。
みやび荘は10階建てだ。しかし、恐ろしいことに部屋は1階ごとに一部屋のみ。部屋は階によって多少違うが、どの部屋も4~5部屋は当たり前。
風呂はユニットバスで希望すればガラス張りに変更可。
キッチンはアイランド式、もしくは対面式。
遼介の部屋は最上階のためルーフバルコニー。
各々の部屋の広さに鼓は目を見張り、目を瞑ったのだ。
「つーくんの部屋ちゃんと片付けて確保してあるから安心してね」
「はい」
「でも、変な写真とかあったりしたらごめんね」
(変な写真……?)
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