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絢爛豪華な部屋 8

「え、嘘、お風呂広…っ」 「これなら2人でも入りやすいでしょ」 「2人で入る予定はありませんけど」 「……」 ヴァイオリンの事は記憶の隅に追いやり、鼓は風呂を見に来ていた。やはり、遼介の部屋のものは鼓の部屋と比べ断然大きく、綺麗だ。 「何この床、大理石?無駄に高い石使ってるんですね」 「(無駄に高い)」 「シャワーヘッドに金散りばめられてる。要らないです」 「(要らない)」 「浴槽広すぎ、一体何人入るつもりですか。もっと縮めてもいいくらいです」 「(縮めてもいい)」 「テレビとか絶対必要ない。逆上せる」 「(絶対必要ない)」 普通の人ならば早く入りたい!と上機嫌になる所を、流石は鼓、平然とダメだしして行く。 「あと、―…」 一向に収まらないダメだしに遼介が気分を害したかと言えば、そうでも無い。 むしろ何故か嬉しそうだ。 「(つーくんハッキリ言うなぁ。返って気持ちいいくらい)」 満足していた。 「(それに、つーくんってこういうの思っても口に出さないことが多いんだよね。でも最近こうやって言ってくれるようになって……嬉しい。信頼されてきたかな)」 遼介がニコニコ微笑んでいる理由はこれだった。 ただ単にテンション上がって変なダメだしをしだしただけのようにも感じられるが。 「じゃあそろそろ入ろ「お手をお離しください。俺は後でいいので遼介先どうぞ」……ケチ」 渋々手を離した。 遼介を先にしたのは遠慮、もあるだろうが、先に風呂に入れれば流石に突撃してこないだろうという魂胆である。 実際、遼介は逆上せやすい体質らしく長風呂している姿は見られなかった。

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