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幸せな時間は終わりを告げる 3

遼介と古木から名前を呼ばれ思考の彼方から戻ってくる。怪訝そうな2人になんでもない、と言い鼓は図書室への道を促した。 「そう言えばつーくん生徒会室のスペアキー持ってなかったっけ」 「なんで知って…………もう聞きません。スペアキーは先生に返しました。それも盗まれてるらしいです」 「行方不明になったんじゃなくて、先生とか生徒の犯行だったりして〜」 「……古木、たまには賢いこと言うんだね」 「たまにはって何?!」 (そうだよね、行方不明って言ってるけど本当かどうか分からないし。この学校の教師だったら賄賂で動きそう) 全くもって信用のない教師である。 図書室に入ると、ザワリと中がざわめき立つ。遼介と鼓、そして(一応)人気のある古木が現れたからだろう。 見られていることに慣れてしまっているカップルは特に気にすることなく。見られることに全く慣れていない古木は、持っているカバンで顔を隠した。 放課後でも人が多いのは、勉強のため……ではなく、本を読みに来ているからだ。しかし、ただの本ではない。 エロ本だ。 元理事長が「健康的発育」のために置いていった本の数々。それは生徒を通じ受け継がれていた。 「「「(こんなもん見せられねぇ)」」」 生徒が一斉に本を隠した。遼介に殺されると思ったのか、将又(はたまた)、鼓の視界にそんなものを入れるべきではないと考えたのか。 どちらにしろ、本共々抹殺されるだろう。

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