278 / 437
幸せな時間は終わりを告げる 6
テスト勉強は次の日、その次の日と続いた。
鼓は、古木の頓珍漢な答えに困惑し無言になったり、あまりの物分りの悪さに呻いたり、逃げ出そうとする古木にキレたりと毎日頭を悩ます結果となった。
遼介は何も言わなかったものの、鼓の枕元にそっと胃薬を置くなど小さな励ましを見せた。
実際は膝に乗せて勉強を教えさせるなど、少々鬼畜だったが(その間、キスを強請られたりもした)。
その間にも事件はいくつかあった。
1.鼓が遼介の居ない間に彼の枕を抱きいて「……好き、です」などと呟き、匂いを嗅いでいた所を本人に見られたこと。
鼓はもれなく、部屋から逃げ出した。
2.鼓がまたヴァイオリンを捨てようとして怒られたこと。
決して目を合わせようとはしない鼓に、遼介はディープキスを息継ぎすらさせず3分行った。死にかけた。
3.隆盛と八九座が、鼓に付き纏っている人物をある程度調べあげたこと。
隆盛は裏で、八九座は力では捩じ伏せた。良いタッグが組めそうである。
4.詩帆がその人物に遠回しに怪我をさせられそうになったこと(また花瓶だった)。
隆盛が本気で怒 り、作業効率が上がった。詩帆は無事である。
5.古木がサッカーでボールが顔面にクリーンヒットし、体育中に倒れたこと。
というより、鼻血の出しすぎで倒れたような気もする。
6.遼介の鼓の盗撮写真のバックアップが一部消えたこと。
叫んだ。下の階の詩帆、隆盛に聞こえるほど叫んだ。
色々と事件があったものの、比較的平和な1週間だったと言える。
そして。
テスト前日の放課後勉強中に、
それは起こってしまった。
ともだちにシェアしよう!