316 / 440
メリークリスマス…? 1
初めての喧嘩 編
12/24 17:32
「遼介は、甘いもの好き?」
「嫌いじゃない、かな。つーくんは?」
「俺は朝昼晩食べても大丈夫なくらい大好きです」
「最初の部分省いてもう一度」
「……大好きです」
「もう一回」
「甘いものも遼介も大好きです」
「うん、よろしい」
「…で、いい加減に説明してくれますかそれ。なんなんですか?」
視界でチラつく、赤い箱。緑色のリボンでラッピングされたそれは、どう見てもクリスマスプレゼントだ。
2人で一緒に部屋に帰ってきて、そくささと遼介が部屋に入るものだから怪訝に思い覗いた結果、これ。
遼介は鞄からこっそりそれを取りだし、隠そうとしていたのだ。
受け取ることすらしない遼介が、絶対に躱すであろう遼介がわざわざ持って帰ってきたそれに、鼓は驚き、そして、なんとも言えない気持ちになった。
問いただすと、遼介はこれまたなんとも言えない表情をし目を逸らした。
「別に、無理矢理受け取らされたならそう言えばいいじゃないですか。なんで隠すんですか?やましい事があるからじゃないですか?」
「…はい」
「はいじゃなくて、理由が聞きたい」
「…」
「…」
「…」
「ごめん、」
「!」
「言えない」
箱を見つめながらそう苦しげに言われると、鼓は奥歯を噛み締めることしか出来なかった。
鼓とて、知らぬ人物から貰った手紙などを秘密にしていたこともあるのだ。自分が言える立場ではない、と自身を叱責する。
そして、自身が隠し事をした時、遼介はこんな気持ちだったのかと思い知らされてしまった。
「…そう、ですか。ごめんなさい変に問いつめて。遼介にも秘密にしたいことくらいあるのに。俺だって隠したりするのに、ダメですね」
「ッ、つーく、」
「本当にごめんなさい。…頭冷やしてきます」
ともだちにシェアしよう!