12/24 18:03 部屋を出ていった鼓が向かったのは古木の部屋だった。 ｢いやなんで俺の部屋｣ ｢みやび荘遠いから｣ 自身の寮であるかぐら荘を飛び出し、ひめみや荘へ。 みやび荘には詩帆と隆盛がいる。だがかぐら荘からみやび荘の距離は歩いて30分。かぐら荘からひめみや荘は10〜15分程度。 行くにしてもかなり遠いのだ。 ｢俺怒られたくないんだけど｣ ｢次のテストの範囲教えるから匿え｣ ｢うーん、…｣ ｢……遼介とのキスシーン｣ ｢もういっちょ！｣ ｢っ…ディープキスｯ………｣ ｢乗った、匿ってやろうようではないか｣ ｢…寛大なお心に感謝致しますって言えばいいの？｣ 遼介とのキスシーン見せるということは仲直りする気はあるようだ。 以上茶番。 鼓が部屋に来た理由を聞き、古木はこれが所謂痴話喧嘩かと内心ニヤリとした。 と、同時に深いため息。 痴話喧嘩に巻き込まれる系BLモブの気分がよく分かってしまったのだ。 よくある話、古木はここで鼓のことを襲うのが定番だが生憎古木にそんな感情はない。 ｢先輩のそのプレゼント、誰から貰ったんだろうな｣ ｢知らない｣ ｢絶対断りそうなのに｣ ｢断れないほど親密な相手だったんじゃないの｣ ｢涼川以外で？｣ ｢…いるんじゃないの。今まで遊び回ってたみたいだし｣ ｢え？！｣ ｢よく知らないけど、俺が入学するまでは遊んでたらしいよ｣ 曰く、遼介が鼓を見たのは10月のオープンスクールの時。そこから一切シていないらしい。当時遼介は1年生。 そこそこ、高校生も派手に遊びに励んでいたと風の噂で聞いている。 実質、信用性はゼロに近い。