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地味な嫌がらせの再開 6

鼓は全て完璧そうに見えて、意外とズボラな所もあるということ。容姿端麗、成績優秀、ともすれば次に来るのは完璧主義だと誰もが思ってしまう。 そういうイメージが着いてしまっているからこそ、3人は鼓の部屋に来た時目を瞠ったのだ。 「すみません、ちょっと散らかってますけど…どうぞ」 「「「(ちょっとって位じゃない)」」」 前回説明した通り、部屋は台風が来たのかと思われるほどの凄惨さ。布団と服(恐らく遼介のもの)などが固まっているところが寝床のようだ。 「涼川……」 「え、なに」 「鼓くん、…」 「あの?」 「……涼川君」 「…なんでみんな揃って俺のことを憐れみの篭った目で見るんですか?!だから、部屋片付いてませんよって最初に忠告したじゃないですか!」 「いやまあそうなんだけどな?!ここまで酷いとは思わねぇじゃん!!」 「〜〜っ!俺!基本的に!片付けは!苦手なの!物を減らして生活してるの!そしたら荒れないし!」 「じゃあこの服の束はなんなんだ!」 「それは遼介の服にきま、って………」 「照れるな!」 途中で自分が言ってる事の恥ずかしさに気づいたのか顔を赤くする。そして開き直ったかのようにとにかく!と声を荒らげる。 「ちゃんと夕飯作るんで!」 バタバタとキッチンに駆け込み、棚から取り出される寸胴。銀色の、円形の形をしたもの。 そう、給食などで見られるあの大きな寸胴である。……まぁ、いつも通りの光景なのだがそれに慣れているのは遼介だけだ。 「なんだよその調理器具?!」 「寸胴」 「名前は聞いてないんだけど!」 「古木は腐男子キャラから突っ込みキャラに移行するの?」 「メタい発言をするんじゃねぇ…!」

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