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地味な嫌がらせの再開 7

突っ込むのに疲れたらしい古木は部屋を探索する事にしたらしく、その場を離れた。 遼介の部屋には入らないことと寝室に入らないことも、きっちり釘を刺される。 『涼川の部屋には入っていいんだ?』 『別に見られて困るものなんてないし…』 『ってか寝室ってどっちもの寝室入るなって事だよな?』 『え?いや、寝室は一つだけだけど。遼介と俺の』 『一緒に寝てるんだ』 『察するな腐男子!』 残った詩帆と隆盛が手伝い残った。 普段は1人で料理をするが、もちろん手伝ってもらうこともある。ただ、遼介が悲惨な為に…してもらわないだけだ。 しかし、料理なんて一切できないに加え機械弄り以外は滅法弱い隆盛は、早々にキッチンから退場してもらうこととなる。 ー皿は落としそうになる、分量は間違える、調味料を取り違えるetc… 逐一鼓が確認しなければそれはそれは大層変わった味の料理が出来上がったに違いない。 すまない、と非常に申し訳なさそうに頭を下げる。 「さ、皿を並べるくらいなら!」 「落とさないって自信あるの?」 「…詩帆に言われる日が来るなんて」 はぁ?!と詩帆が隆盛を睨みつけるも隆盛は肩を諌めただけだった。 鼓が今作っているのは、鮭のムニエル(1人2つ、鼓は4つ)、ロールキャベツ(適当)、ミニオムレツ(適当)、パスタサラダ(適当)、そしてメインはブラウンシチュー(寸胴+小鍋)だ。 ムニエルは既に作り終わっているため、熱を冷まさないよう予め温めておいたさらに移す。 ロールキャベツは手早くしないと時間が無くなるため早めに。 ミニオムレツはとにかく量産する。ちなみに中にはひき肉とチーズ。バターを引いたフライパンに、溶き卵を軽く流し手早く形を整える。裏返したらポン!とすぐに皿へ。このフライパンは、ミニオムレツ専用のオムレツだ。 オムレツを作ると同時に、パスタ10束ほどを茹でていく。パスタサラダ用の野菜はカット野菜(安くて使いやすい)を大量に買っているのでそれを。 (シチュー、大分いい感じになってきた。あとはちょっとの間放置かな。………足りるかなこれ) コトコトとシチューを煮ながらそんなことを考える。 そんなことを考えているとは梅雨知らず、詩帆は鼓の手際の早さに目を見開いていた。 落ち着け、足りる。

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