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君と過去の話をしよう 1

まぁいいやと深く考えず、詩帆は話し始める。 「鼓くんと会う前の遼介かぁ……簡単に言うと、宇宙人?」 「え、遼介って宇宙から来て…あ、だからあんなに変人「鼓くんそれ遼介に言わないであげてね?!」は、はい」 肩をがっしり掴まれ、迫られる。なんか怖い。 「えっとね…遼介は冷たい人だったたんだよ」 「冷たい…」 「想像つかないって顔してる。実際鼓くんにはそういう顔見せたことないもんね。あったとしても目隠しされてたり。 遼介は外面だけは良いから、ちゃんと笑顔で話すんだけど…目が冷たくて、心許しませんって感じ。でも女はそこに気づかないとこが多くて。優しくされたら自分は特別なの〜って舞い上がって勘違い。遼介もその方が楽だからって放置するし」 「…」 皿にシチューを盛りながら微妙な顔をする鼓。本当に、想像が出来ない。鼓の前で遼介はいつもにこやかで、怒ることもあまりない。ましてや冷たい目など見たことない。 変態で、鼓のことになると無茶苦茶な、恋人。なのに公の場では冷たい。確かに、宇宙人かもしれない。鼓だってたまに理解できないことがあるのだから。 あ、誤解しないでねと詩帆が続ける。 「鼓くんには優しくしたいし、そんな顔見せたくないんだと思う。つまり、格好つけなんだよあれ。自分のいい所ばっかり見て欲しい的な」 「遼介が、格好つけ…」 「どこが?って顔しないで。確かに鼓くんの前では変態で変人でストーカーだけど、ちゃんと…ちゃんと…あれ、格好つけるってなんだっけ」 詩帆は眉間に揉むような仕草をして唸る。鼓も首を傾げた。 (格好つけ。できるだけ体裁が良くなるようにと気にして振舞う、だっけ? なんでだろう当てはまらない。いや、きっと俺が知らないだけで遼介もいっぱい考えてる、はず) しかし鼓の頭の中には、ニコニコ笑いながら下着(鼓のもの)を握りしめる遼介しか浮かんでこない。よりによってそんな映像が流れてしまったのだった。

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