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君と過去の話をしよう 2
2人とも敢えてその事を考えないようにした。
「ま、まぁそれはともかくとして…鼓くんと付き合う前の遼介は冷たくて、人じゃなかったって感じ。でもね…それがある日突然、人になったの」
その表現に、鼓は首を傾けた。人じゃないものが人になる…?
「あ、分かりにくいかな?具体例を挙げると〜、なんか携帯見て怪しげに微笑むようになったこととか、毎日幸せですオーラを出すようになったこととか、いきなり一眼レフカメラ買いに行ったりとか。しかも、黒服で」
それは、人になったというのか?どちらかと言うと不審者になったのではないのか。
「俺と隆盛も超怪しんでさー!」
「あの…それってもしかして」
「うん、鼓くんをストーカーし始めた時期だねちょうど」
(遼介…っ!!)
まさか自分のストーカーを始めたから人になったとでも言うのか。いや、話の流れ的にはそうなのだがしかし…
「いやぁ、まさか鼓くんのストーカーのお陰で遼介の冷血漢が治るなんて思っても見なかったなぁ」
はいその通りでした。鼓は観念して苦笑した。
「隆盛と一緒に問いつめたら、嫌そうな顔をしながら何出して来たと思う?!」
「しゃ、写真とか…?」
「そう!しかも鼓くんの着替え姿!体操着に着替える時の!」
「……あ、見たことあるかも」
はぁ?!なにやってんのあの変態ストーカー!と詩帆は本人が居ないのをいいことに、罵りまくる。
以下要約。
・その時はまだマシで、写真だけだった
・自宅が特定できなくて嘆いていた
・時々中学校に忍び込んでいた(その事も知っていると言うとさらに暴言が続く)
・鼓が入学してからエスカレートしてきて、私物は勿論割り箸とかコップとか体育の後の服とか、とにかく散々だった
・そのうちバレて気持ち悪がられて終わるだろうと思っていた
・何度も2人で止めようとしたけど聞く耳を持たなかった
・でもまたあの頃の遼介に戻ると思うと強く引き止めることは出来なかった
・etc……。
(な、長い…)
はい、とか、そうなんですね、とか適度に相槌を打つが…なかなかこれは終わらないだろうと鼓は腹を括って話を聞くことにした。
(あ、どうしよう…遼介に、会いたくなっちゃった…遼介は俺の写真とか動画とか私物とかいっぱい持ってるけど…俺はあんまり持ってないから、寂しい)
鼓は俯き、少し表情に翳りを見せた。
それに気づかず、詩帆は続ける。
「それにね、遼介はあの頃は特に荒れてて!もうあの女のせいで……、…ぁ、これダメなやつだ」
失言だったらしい、口を慌てて塞ぐも鼓の耳にはもうしっかり届いているわけで。
(…あの、女?)
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